今後の展開が気になる「なつまち」。戸松さん、島崎さんらキャスト陣も、収録する回よりも先のストーリーなどは、一切知らされていないそう。アフレコの合間のロビーは、今後の展開予想などで盛り上がっているのだとか。「初めてお会いする方が多くて、常に新しいことを発見できる現場だなと思います」(戸松さん)

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注目作「あの夏で待ってる」でメインキャストを務めている戸松遥さんと>島崎信長さんの“同世代声優対談”後編です。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の長井龍雪監督を始めとした豪華スタッフが集結した今作。主人公の貴月イチカを演じる戸松さんと、霧島海人を演じる島崎さんも、まるで普通のファンのように、作品の魅力を愛情たっぶりに語ってくれました。7話の沖縄編までの名場面を振り返りつつ、8話以降の見どころも紹介!

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●「男の子ってこんな感じなんだろうな」

――ここまでイチカや海人を演じてきて、それぞれのキャラクターへの印象は、変化していますか?
島崎 海人は、基本的に自分の気持ちに素直で正直。妄想も多くて、いかにも思春期らしい分かりやすい子なんですけど。話が進むと、意外と熱かったり、男らしかったりする面も出てきて。(石垣)哲朗から、(谷川)柑菜ちゃんの思いを聞かされても、あんまり気持ちが揺れていないし。それって、“イチカLOVE”な気持ちが、最初からぶれてないからかなと思って。複数の女の子に好かれる作品って、どうしてもフラフラしてしまうじゃないですか。それが無いのは男らしいなって思います。
――戸松さんの海人に対するイメージは?
戸松 等身大な子だなーとすごく思っていて。きっと、高校生の男の子って、こんな感じなんだろうな。妄想とかもしたりとか。
島崎 うん、しますね(笑)。
戸松 なんていうか、人間味を感じる要素がいっぱいある子で。イチカと出会ってから、彼はすごく変わったと思うし。逞しさや男らしさも出て来ているので、すごく良かったねって。私個人としては、成長していく彼を、すごく微笑ましく見守らせてもらっています。
――では、イチカについてはどうですか?
戸松 イチカも、話が進むごとに毎週変化していく子だなと思っていて。最初に海人君と出会った時から、(海人のことが)どこか気になる部分はあったと思うんですよ。それが何かは分からないけど、ちょっともやもやしてる、みたいな。そこからイチカの気持ちがどう変化して、その気持ちがどんな風に表現されていくのか楽しみにしながら、毎回台本を読んでいるんです。本当にビックリするくらい違うので。いつも新鮮な気持ちで、ちょっとずつ海人君への気持ちを加味しながら表現できることが、すごく楽しいなと思いながら、演じています。彼女、すごく分かりやすい子だと思んです。
島崎 分かりやすいですよね。
戸松 特に軽井沢に行った時(第3話)は、誰が見ても海人君のこと、気になってんじゃんって(笑)。本人は気付いてないですが、第三者目線で見ると微笑ましくもあり、もどかしくもありという感じです。
――最初の頃、イチカがわたわたしてるのは、自分が宇宙人であるのを隠すためですけど。だんだんと、海人のことでもわたわたし始めますよね。そこが可愛らしくて、ニヤニヤしてしまいます(笑)。
島崎 そうですよね。戸松さんも仰いましたけど、イチカは、本当に1話ごとにいろんな魅力が出てきて可愛くなっていく。柑菜ちゃんて、わりと最初からパーソナルな部分を見せてるじゃないですか。だから、最初から「わー可愛い子だー」って感じなんですけど。
戸松 そうですね(笑)。
島崎 イチカは、隠しているところから、新しいところがどんどん出てきて、可愛く魅力的になっていくなと思っています。

●「ぶっ壊して振り切っちゃえって」

――個人的に、イチカと海人の妄想シーンは、この作品の大きな魅力だと思っているのですが。お二人とも、いつも非常にユニークなお芝居をされていますよね。
戸松 いろいろとやっちゃって良いシーンなんで、遊んでます(笑)。
島崎 普段の会話とかは、リアルで自然な感じなんですけど、妄想シーンはやっちゃっていいから、やるしかないって感じで。とりあえず、そのキャラに聞こえるギリギリのところまで、ぶっ壊して振り切っちゃえって。
戸松 それで、やり過ぎって言われたら、下げようという感じです。
――やり過ぎって言われることもあるんですか?
島崎 ありますね。逆にもっとやってと言われることもありますし。
戸松 私は、やって良いって言われると、やっちゃうので!
島崎 戸松さんは、いつもすごいですよね(笑)。
戸松 人によって、妄想の種類がちょっとずつ違うのも面白くて。イチカの中の海人君は、なぜ、あんなに棒読みなのかとか。
島崎 だいたい、イチカの言いなりなんですよね。「ハイ、シタガイマス」とか。
戸松 全然、海人君のことを想像できてないのが面白くて。海人君の妄想の中のイチカは、すごく色っぽかったり。

●「哲朗がヤバイんですよ」

――そんな妄想シーンも含めて、お二人のお気に入りの話数やシーンなどを教えて下さい。
戸松&島崎 (声をそろえて)いっぱい、あるなあ……。
島崎 まず、5話がやばいじゃないですか。
戸松 ずっと言ってるもんね。
島崎 正直、イチカと海人っていうより、哲朗がヤバイんですよ。
――哲朗が、柑菜の気持ちを海人に伝えるシーンですか?
島崎 はい。「哲朗、それを言っちゃうんだ!」と思って。その前のシーンでも、柑菜に「人を好きになんないと分かんないよ」って言われるじゃないですか。あそこの台本を読んだ時、高校生なら絶対にここで柑菜に「好きだ」って言っちゃうと思ったんです。でも、哲朗は、あの返しをするんだなって。人によってはヘタレって言うかもしれないけど。僕としては、すげえ高校生だなと思います。
戸松 信長論、炸裂(笑)。
島崎 僕、正直、哲朗と美桜がすっごい好きなんで。二人については、まだまだ語れますよ(笑)。美桜のシーンだと、2話の最後のみんなが寝てるところで。柑菜が「海君のバカ」って言った後の流れとか。
戸松 うんうん。
島崎 (3話で)美桜が哲朗に「人の恋路を邪魔してると、蹴られるよ」っていうシーンも。哲朗に、「自分の恋路を邪魔してるから自分に蹴られるよ」って言いながら、美桜は自分の恋路を邪魔して、ボコボコ自分を蹴ってるわけじゃないですか。そことかホント、美桜やばいなって! あ、すいません長くなって。カットしてください(笑)。
――いえいえ(笑)。では、戸松さんは?
戸松 要所要所でそれぞれの思いが細かく入っていて。ちょっとしたセリフにすごく深い意味があったりすることも多い作品なので、その中からピックアップするのは大変なんですけど……。海人君とイチカのお話だと、だいたい毎週、二人だけの会話シーンがあるんですよ。その距離がだんだんと近くなってるのが、甘酸っぱいな、青春だなと思ってて。沖縄(7話)の最後のシーンは、イチカも自分の思いが見えてきて、ちょっと良い感じになりますよね。そのシーン以外にも本当は1つ、二人の掛け合いですごくインパクトの残ってるシーンがあるんですけど。まだオンエアしてないから、言えない〜(笑)。
島崎 ありますあります。まだ、言えないけど、ありますよね。

●「あまり難しく考えず見て欲しい」

――お薦めのシーンがどこか楽しみにしています。では、改めて、ファンの皆さんにはこの先、どのようなことを楽しみにして欲しいですか?
戸松 今、海人君とイチカの距離感がどんどん明確になっている最中で、8話からもガラリと展開が変わっていきます。きっと、作品を見て下さってる方も、毎週どうなるんだろうと、続きが気になりながら観ていただいてると思うんです。でも、私は、あまり難しく考えずに観て頂きたいなと思っていて。まずは純粋に最終回まで作品を楽しんでもらって。その後に、もう一度、見て欲しいんです。そうやって振り返ってもらうと、たぶん最初に見た時とは、また違う視点で見られると思うし。いろんなキャラクターの視点から、見ていただくのも良いと思うので。
島崎 本当に、すごく繊細な気持ちの動きとかが描かれている作品だと思うので。戸松さんの言うとおり、最初は純粋に見て欲しいですね。それで、2回目以降、ちょっと、妄想しながら見ていただいたりしたら、楽しいんじゃないかなと思います。コイツ、絶対にこう思ってるよ、とか。コイツ、絶対に好きじゃん、とか(笑)。
――ありがとうございます。最後に作品の内容以外の質問を。イチカや海人は、すごく充実した高校生の夏の日々を過ごしている訳ですが。お二人にとっての理想の夏は?
戸松 え、なんだろう……。
島崎 ごめんなさい、つまんない答えなんですけど。僕は仕事にまみれたいですね。
戸松 まみれたい?
島崎 寝る間もないくらい、ずっと仕事で忙しい夏がいいです。今の僕にはそれが理想ですね。あ、仕事というのは声優としてですよ(笑)。
――深夜までアルバイトとかではなく、お芝居の仕事ですよね(笑)。
島崎 はい。できたらメインみたいな役で。毎日「なつまち」のアフレコがある夏とか理想ですね。あり得ないけど、30話くらいやったり(笑)。
――役者さんやスタッフさんは大変そうですが、見てみたいですね。戸松さんは何か思いつきましたか?
戸松 なんですかね……。えっと……えっと……スイカ割り?(笑)。
――えらく庶民的な(笑)。
戸松 だって全然、思いつかない〜。保育園以来やってないので、スイカ割りしたいです!(笑)。
――戸松さんが想像できる夏の楽しいことの限界は、スイカ割りなんですね(笑)。
島崎 限界って、そんな(笑)。楽しいですよ、スイカ割り。じゃあ、夏に「なつまち」のイベントを長野でやって、スイカ割りもしましょうよ!
戸松 え? 長野でスイカ割りをやるの?
島崎 戸松さんが、どうしてもやりたいって言うんでって(笑)。
戸松 じゃあ、ぜひ企画してください(笑)。
(丸本大輔)