労働政策研究・研修機構の「職場におけるメンタルヘルスケア対策に関する調査」結果によると、メンタルヘルスに問題を抱えている正社員がいる事業所は6割近くにのぼり、そのうち、3割の事業所は3年前に比べて人数が増加していることがわかった。

 調査結果によると、メンタルヘルスに問題を抱えている正社員がいる事業所は56.7%。従業員1000人以上の大企業では7割(72.6%)を超えている。産業別では、医療・福祉(76.6%)、情報通信業(73.0%)、製造業(67.9%)で割合が高い。

 問題を抱えている正社員がいる事業所について、人数の増減を3年前と比較すると、「増加」(6.0%)、「やや増加」(25.7%)、「ほぼ同じ」(47.1%)、「やや減少」(6.5%)、「減少」(11.9%)となっている。近年、メンタルヘルス対策に取り組む企業は増えているにも関わらず人数は増加傾向にある。

 過去1年間にメンタルヘルス上の理由で連続1カ月以上休職または退職した正社員がいる事業所は23.5%。階層別にみると、若年層が多いと推定される「役職なし」(66.6%)が他の役職(「係長クラス」(19.8%)、「課長クラス」(8.1%))に比べて非常に多い。

 メンタルヘルス不調者が現れる原因(複数回答)では、「本人の性格の問題」(67.7%)と回答している企業担当者が多い。次いで「職場の人間関係」(58.4%)、「仕事量・負荷の増大」(38.2%)、「仕事の責任の増大」(31.7%)、「上司・部下のコミュニケーション不足」(29.1%)、「家庭の問題」(29.1%)、「成果がより求められることによる競争過多」(12.6%)の順となっている。

 調査は、2010年9月から10月に、全国の従業員10人以上の民間事業所1万4000カ所を対象に実施し、5250件(有効回収率37.5%)から回答を得た。

中堅・中小企業を支援する「こころの健康診断」 高いセキュリティで従業員情報を守る
メンタルヘルス対策の現状と課題〜復職支援は試行錯誤、問題を発見・解決する予防へ
心の病による労災請求が過去最多、いじめ・上司とのトラブル急増

日本人材ニュースHRN」は人材採用・人材育成の人事専門誌です。