FW横山以外にも、このチームはほとんどの選手がドリブルで仕掛けることができる。これが一番の魅力である。ボランチの位置からもドリブルで仕掛けようとするので、「危ない」と思うシーンもあるが、これだけ積極的に仕掛けられる選手がそろっていると見ている方は面白く、現地の人も日本代表のテクニックには感嘆したようで、日本の選手がテクニックを見せるたびに大歓声が上がった。

日本人はアジリティーに優れているので、欧州の大型選手と対戦するとそれが大きなアドバンテージになってドリブルが効果的であるということは、最近、分かってきたことであるが、同じアジアの北朝鮮を相手にしてもドリブルは効果的だった。

これでMF横山は5試合連続ゴール。なぜ、スタメンで出場していないのか不思議でならないが、もし日本が大会を制したとしたら大会MVPはMF横山で間違いないだろう。そういえば、前回大会でも大会MVPに当たる「ゴールデンボール」を受賞したのが「リトル・マナ」ことFW岩渕真奈。(FW岩淵も17歳であり、年齢的にはこの世代に当たるが、今大会は出場していない。)なでしこ・ジャパンというと、「パス・サッカー」で世界トップレベルに近づいてきたが、若い世代はドリブルが武器の面白い選手がそろっている。

■ 背番号10の京川舞

FW横山以外にも、MF田中、MF川島とタレントが揃っているが、好パスでチャンスを作っていたMF川島を後半途中に交代させたのは少し意外だった。確かに運動量が落ち始めていて、前半ほど攻撃に絡めなくなってきたが、パスで決定機を作れそうだったのがMF川島だけ。この交代がうまくはなるのか心配したが、結果として、この交代から間もなく2ゴールが生まれた。

前線ではFW京川の奮闘も光った。グループリーグ2戦目のベネズエラ戦ではハットトリックを記録するものの、3戦目のニュージーランド戦は不発。決勝トーナメント1回戦のアイルランド戦ではスタメンから外れていたが、この日はスタメン出場。ドリブルで仕掛ける技術もあるが、タフに当たられても平気な強さも光った。

■ 決勝戦は日曜日

世界レベルへの挑戦が続いている男子サッカーとは違って、女子サッカーは世界トップレベルである。もちろん、競技人口等が全く異なるので単純に比較はできないが、男子サッカーにとって、女子サッカーの活躍は刺激になるものである。

世界レベルにある女子サッカーであるが、国内リーグの注目度は低いままであり、厳しい状況にある。注目度の低さがハングリー精神となって国際レベルでの活躍につながっている面もあるが、このレベルを維持して、さらに上へと引き上げていかなければもったいない。

一部の地域を除くと、まだまだ、女子でサッカーを続けるというのは非常に難しいと思われる。なでしこジャパンのエースのFW澤穂希と川崎フロンターレのMF中村憲剛が小学生時代に同じサッカークラブだったというのは有名であるが、都市部はともかく、地方では女子がサッカーを行う環境は整っておらず、サッカーを始めるきっかけすらほとんどないのが現状である。

16歳や17歳の選手に大きなものを背負ってもらうのは忍びないが、彼女らの活躍に刺激されてサッカーに興味を持って、「自分も始めてみよう」と思う選手が一人でも多く出てきてほしいところ。韓国との決勝戦は26日の日曜日の朝の7時から行われる。


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