眩しい、日本の夜明けです!

南アフリカの大地。宵闇の中のスタジアム。緑のピッチに映える、夏空のように濃く青いユニフォーム。胸に輝く日の丸は、朝焼けの色。夜明けの赤。今この記憶を書き綴る間にも、胸が高鳴り、手が震えるほどの昂ぶり。日本ではもう新しい朝が始まっています。この太陽は日本サッカーの暗闇を払い、夜明けを告げる光。7時間後、南アフリカの大地にもこの太陽がめぐり、僕らの代表を明るく照らします。ライジング・サン。日本代表は雄雄しく、誇らしく、ベスト16へと駆け上がりました。

引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まるデンマーク戦。別会場で行われるオランダVSカメルーン戦は勝ち抜けを争う戦いではないので、日本代表の試合が世界の注目を集めたことでしょう。その大舞台でこんな結果が出るとは、いい意味で期待を裏切られました。よもやの3-1。美しい大勝。本田圭佑の無回転FK弾、遠藤保仁の緩やかなカーブを描くFK弾、本田・岡崎コンビでデンマークDFを切り裂いたダメ押し弾。日本はデンマークを圧倒していました。0-0引き分けでの勝ち上がりとは違う、力で押し切った戦いぶりは、「偶然」とか「幸運」とか「相手が弱かった」なんて疑問の余地のないもの。勝つべくして、このグループを突破するべくして、日本は勝ち上がったのです。世界の多くのファンも、そして日本のファンも、日本代表の強さを認めたに違いありません。

もう思い込みや疑いは捨てて、等身大の自信を持つべきとき。

日本人はどうしても自分を過小評価し、疑うところがあります。世界との距離を必要以上に遠く感じ、相手をリスペクトしすぎるところがあります。プロリーグ開幕から17年が経ち、多くの選手が海外のトップリーグを経験し、代表・クラブともアジアを制するレベルに成長しました。自国開催のワールドカップではベスト16に進出してさえいます。しかし、「ホームだから」とか「相手が弱かった」とか、いくつもの理由をこじつけて自分たちを認めてきませんでした。

今回の代表を見てください。たまたま居合わせた「天才」はいません。摩訶不思議な戦術で勝利に導いてくれる「名将」も居ません。チームの中心にあるのは、アテネ五輪・北京五輪で惨敗した「谷間」呼ばわりのメンバーたち。率いるのは国内識者から散々「クソ監督」呼ばわりされた岡田武史。日本が弱い理由を見つけることは出来ても、日本が身の丈以上に強くなる魔法は見つけられないでしょう。初めから魔法などなかったのです。日本を突然強くしてくれる魔法も、日本をいつまでも小さくか弱くあり続けさせる魔法も。

今大会で目撃したものこそが、等身大の日本サッカー。日本は世界の舞台で十分に戦い、勝つことだって出来るという証明です。相手の攻撃を完封した長友、バイタルエリアを封印した阿部、屈強な相手FWを跳ね返した中澤・闘莉王、鋭い反応でゴールを守った川島、攻守にタクトを振るい今大会随一のFKを決めた遠藤…彼らはJリーグで育ち、今もなおJリーグで戦う選手たち。日本からもあの舞台で戦える選手、戦えるチームは送り出せるのです。もういい加減、「日本にもフットボールはあるんだぜ」と胸を張っていいのではないでしょうか。

堂々とベスト16に進みましょう。

誰恥じることなくベスト8を狙いましょう。

目標はベスト4だと、照れずに宣言しましょう。

「日本は弱い」「日本はダメだ」「3戦全敗」という根拠のない思い込み、いわれのない暗闇は、この朝日にかき消されたのですから。