「え、そんな話覚えていないよ…」数多くの社内メールに紛れた重要なメッセージ 見落としたら、大惨事にもなりかねず
不正の世界においては、損害額は、時間の経過とともに急速に拡大することが知られている。不正実行者の心理として、当初は、不正が発覚することに対する恐怖心もあり、不正実施後しばらくは、周囲の反応を確認するための冷却期間をおく傾向がある。しかし、不正の発覚を示す兆候がないことを確認すると、徐々に不正取引の実施間隔を短くし、かつ、金額も増大させていくのである。
結果として、数年間にわたり継続的に実行された不正事件でも、被害金額の大半は不正が発覚する直前の最後の半年以内に生じたものである、というケースも少なくない。そのような場合、「なぜもっと早く発見できなかったのか?」という疑問を呈する人々も少なくはないだろう。特に、マスコミには、その傾向が強い。したがって、早期発見はリスク管理の要諦となる。今回はメールを例にとって、そのことを考えてみよう。
その時点では、「大したことはない。」と思っていたことが、その後大問題に発展するケースは少なくない。現実問題として、たまたま問題の発端に遭遇した場合、少し変であると感じても、それ以上には気にもとめずに、放置してしまうことも少なくないのが実情であろう。しかし、時間の経過とともに格段に被害が増大する場合、早期発見のチャンスを見逃した結果、事後的に責任追及につながる危険性は、決して低くはない。
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