回転数だけでは曲がらない?球速がボールの変化率を高める物理【東大卒キックコーチが教える本当に正しいキックの蹴り方】
東大卒キックコーチ/田所剛之が教えるマグヌス効果による軌道の変化とは
回転による軌道の変化
回転数と球速の両方で軌道の変化率が決まる回転がボールの軌道に与える影響は、マグヌス効果と呼ばれる流体力学における有名な現象で説明できます。深入りはしませんが、ボールの周りの空気の流れが変化し気圧差が生じることにより、進行方向に揚よう力りょくと呼ばれる垂直な向きの力が生じるというものです。具体的に言うと、バックスピンであれば浮き上がる向き、トップスピン(順回転)であれば落ちる向きに揚力が働きます。横回転であれば回転する方向に向かって曲がっていくように揚力が働きます。
そして、この回転により働く揚力は回転数が増えるほど大きくなります。そのため、ボールに変化を付けたい場合には回転数を上げることが一つのアプローチとなります。例えば、カーブのFKを鋭く曲げたいと考えた時に横回転を増やすというのは妥当な選択に見えます。しかし、先述の通り回転数を上げると速さが落ちてしまうので曲がりはするもののゴールを決めるのは難しいというのはよくある話です。
そこでスピードを増やして横回転を減らすというアプローチを取った場合にカーブ系の変化が小さくなるかというと必ずしもそうとは言えません。それは、マグヌス効果による揚力は同じ回転数であっても速さが大きいほど大きく働くからです。つまり、少しの回転数でもその分スピードを速くしていくことで意図した変化を出すことができるため、目的に応じた調節が必要になります。
マグヌス効果による軌道の変化
バックスピンの場合
トップスピンの場合
【出典】『東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方』 著:田所 剛之

