「恋愛=謝罪」なぜ? BLACKPINKリサの告白から紐解くK-POP“疑似恋愛”ビジネスの歪み
やはりK-POPアイドルが恋をするのは、想像以上に困難なようだ。BLACKPINKのリサがこれまでの恋愛事情を包み隠さず明かし、注目を集めている。
カナダメディアが先日報じたところによると、リサは自身のドキュメンタリー作品『Always Lalisa』の中で「K-POP文化では恋愛できない」と明かしたという。
彼女は「誰かと付き合っているところをパパラッチに撮られたら、すぐに人気が落ちてしまう」と話し、「若い頃に何度か恋愛をしたが、徹底して隠していた」とも打ち明けた。

さらに、「自分の恋愛がBLACKPINKの人気を傷つけることを望まなかった」とも語っている。
一見すると、やや大げさな表現にも思える言葉である。
だが、過去に起きた人気女性アイドルの熱愛報道を振り返ると、リサの発言が決して誇張ではないことが理解できる。
相次ぐ熱愛騒動とアイドルの謝罪象徴的な事例として挙げられるのが、aespaのカリナである。
2024年2月、俳優イ・ジェウクとの熱愛を認めると、一部のファンから誹謗中傷やファンを辞めるとの表明が続出し、所属事務所SMエンターテインメントの社屋前では抗議のトラックデモまで実施された。
最終的にはカリナ本人が謝罪文を公表する事態にまで発展した。
そして二人は、交際公表からわずか5週間で破局に至った。事務所側は「作品に集中するため」と理由を述べたが、一部メディアは悪質コメントによる精神的ストレスなども一因として報じている。
当時、韓国メディア『OSEN』はこの事態を「アイドルの恋愛=謝罪という不自然な構図」と評している。
さらに、交際を公表した2月27日、SMエンターテインメントの時価総額が前日から668億ウォン(約77億3000万円)減少したとも伝えられた。
もちろん、株価の動きには多様な要素が影響するため、カリナの熱愛のみが下落の要因だったと結論づけることはできない。
それでも、トップアイドルの恋愛がファンの心情だけでなく、企業価値に紐づけて論じられる現象そのものが、K-POP界における私生活の重さを表している。

BLACKPINKのジスと俳優アン・ボヒョンの事例では、また違った難しさが露わになった。
2023年8月に交際を認めると、ジスのみならずアン・ボヒョンにも過剰な注目が集まった。過去のドラマ制作時のメイキング映像まで掘り起こされ、女性スタッフに台本を持たせているように見えるシーンに関して、「人間性」にまで疑問を投げかける声が上がった。
当時の韓国メディアは、この騒動に対し、十分な検証を行わない“魔女狩り”的な議論であったと指摘した。
つまり、トップアイドルが恋をすると、本人たちだけでなく、「その相手はふさわしい人物なのか」という点まで、一部ファンによる“審査”の対象になり得るのだ。
最終的にジスとアン・ボヒョンは、交際を公表してからわずか2カ月で別れることとなった。

カリナは交際発覚後に謝罪文を掲載し、ジスの場合は交際相手の過去まで暴かれた。こうした事例を踏まえると、リサが「恋愛がBLACKPINKの人気に悪影響を与えることを恐れた」と話した背景も頷ける。
「疑似恋愛」を売るK-POP産業の構造しかし、ここで問題を「ファンがアイドルの恋愛に厳しすぎる」と結論づけて終わらせるのは不十分だろう。
そもそもK-POP産業自体が、長年にわたり“疑似恋愛”を強力なコンテンツとして活用してきた背景があるからだ。
『スポーツソウル』はBTSのJUNG KOOKとaespaのウィンターに熱愛説が持ち上がっていた2025年12月、K-POPのビジネス構造について「疑似恋愛を基盤に設計されている」と論じた。

その仕組みは以下の通りである。
サイン会や映像通話イベント、有料メッセージサービスなどでは、ファンとアイドルが密接な距離感で交流を行う。「ご飯食べた?」「君しかいない」といった恋人のような言葉が交わされ、ファンはCDを大量に買い求めて僅かな対話のチャンスを手に入れる。
K-POPファンは、単に音楽やパフォーマンスの対価を支払っているだけではない。アイドルとの“親密さ”そのものに金銭を投じているのだ。
『スポーツソウル』は、こうした構造において「アイドルはステージ上の“アーティスト”ではなく、金を払えば応答してくれる“仮想の恋人”として位置づけられる。徹底したビジネス論理で構築された関係の中では、アイドルの実際の恋愛は明白な“契約違反”であり、“欠陥商品”と受け取られかねない」と分析した。
さらに「本能的な感情である“愛”を人質にして財布を開かせる、高度に洗練されたビジネスだ」とまで表現している。
仮想の恋人と現実の摩擦が生む息苦しさもちろん、恋愛を規制する権利がファンに存在するわけではない。
しかし、K-POP産業が「自分だけを見てくれている」と思わせる手法を意図的に活用してきた以上、熱愛発覚に伴う反動をファンの嫉妬心だけで片付けるのも妥当ではないだろう。
ここに、K-POPアイドルの恋愛が困難を極める真の理由が存在するのかもしれない。
恋愛という行為自体が不適切なのではない。現実の恋が露わになった瞬間、これまで提供してきた“疑似恋愛”との矛盾が表出するのだ。
ファンには「あなたは特別」と実感させる。だが現実には、アイドルにもひとりの人間としての私生活があり、恋もする。その両者が交錯した時、情緒的な反反発のみならず、売上やブランド価値に対する懸念までもが引き起こされる。
カリナの熱愛が表沙汰となった2月27日にSMエンターテインメントの時価総額が668億ウォン減少した事態も、その構造を象徴する事例の一つと言える。
疑似恋愛的なつながりが収益を支えている以上、熱愛は単なる私生活の範疇を超え、“商品設計上のリスク”として市場に認識され得るのだ。
リサが口にした「BLACKPINKの人気を傷つけたくなかった」という葛藤も、このような背景を踏まえると容易に理解できる。

自らの恋愛が、自分のみならずBLACKPINKの評価にまで及ぶことを危惧した。だからこそ秘匿した。そう考察すると、「K-POPでは恋愛できない」という言葉の持つ重厚さも違って感じられる。
K-POPアイドルにとって過酷なのは、単に恋をすることではない。恋愛をしない存在として商品化されながら、ひとりの人間として恋に落ちることだ。
カリナは交際を認めて頭を下げ、ジスのパートナーは人間性まで“審査”を受け、リサはグループを防衛するために恋を隠した。
この歪みを生み出しているのは、ファンばかりではない。疑似恋愛というシステムを存分に利用して肥大化してきた、K-POP産業そのものでもあるのだ。
リサの告白は、その構造が抱える息苦しさを、改めて際立たせている。
(記事提供=スポーツソウル日本版)

