【エビス セイキ】「食べログ・Googleで星1」不当な低評価と戦うラーメン店の悲鳴、店主が絶望する「レビュー社会」の理不尽
食べログの登場以降、飛躍的に増えた飲食店のレビュー。中には辛辣な声も見られるGoogleマップのコメントをマメに返すラーメン店主がいた。千葉県浦安市にある『麺屋真星』の安田真人さんである。なぜ、そこまでコメントバックをするのか。
店としてより良くしたいのが大前提
「100人店主がいたらたぶん100種類のラーメンが出ると思います。それだけに誰かにとっては100点だけど、誰かにとっては0点になる可能性がある。『このラーメンはこういうもんだ』という固定観念があるから、ギャップが起きるわけです。正解がないんですよね」
それをSNSなりGoogleマップのレビューで伝えようとしても、結局文章では伝わりづらい。「例えば、『スープの味が濃い薄い』は人によって感じ方が違うと思います。その場で言ってもらえたら対応しますし、『薄めない』と言う店主はいないと思うんです。それを言えることもなく『濃かった。星1』と書かれてしまいます」
確かに、Googleマップでの『麺屋真星』の口コミにはスープの濃さについて言及した投稿がいくつかあった。その都度、安田さんはスープのベース濃度や塩分濃度の数値を書いて返信している。
「こちらに非があるなら別です。ここをどうにかして欲しかった、ここが悪かったという意見があれば、改善します。店としてより良くしたいのが大前提です。ただ、レビューを見ても何をしてほしいかがわからないので改善しようがない。それで評価だけが勝手に下がっていく。第三者が見た時にどう思うでしょうか?」
何も書かずとも投稿できるシステムに問題がある
評価が星1でも全然いいんです。ただ、事実に基づかないことやその場で解決できるようなことが書かれていないのがよくない。反対に『ここが汚かったから変えてほしい。星1』。星5をつけて「ここは改善してほしい」という意見もあると思うんですよ。
実際、瓶がちょっとヌメヌメしてたとか、QSC(クオリティ・サービス・クリーンネス)の意見が改善につながることが多いです。見かけたらその場でスタッフにLINEして、こういうことがあったから気をつけてねと共有します。
「うちみたいな小さいところは店主が1人いて、お店は1つしかありません。そんな店がわざとお客さんに嫌われるようなことは絶対しないと思います」
意見を書いて投稿するならまだしも、何も書かずに星ひとつだけをつける方もいる。それには安田さんも頭を悩ませる。「そもそもそれを投稿できるシステムに問題があります」と、Googleに異を唱える。
悪質なレビューに対しては開示請求をする
しかしこれほどまでにユーザーと向き合う店主はいるだろうか。営業時間から逆算して仕込みを始め、こだわりが強ければ強いほどかける時間も増えてくる。日々忙しない中で、安田さんはいつレビューを見ているのか。
「Googleマップはオーナー登録をしていると通知が来るんです。手が空いてるときに見ては返信してますね。ユーザーとしての自分は、Googleマップも食べログも見ません。Googleから通知がくるから見てるだけ。通知がこなかったら、ここまでやってないです」
ちなみにGoogleのレビューは、Googleの利用規約やガイドラインに違反している投稿だけ削除できるそうだが、基本的に店舗オーナーから削除できない仕様になっている。それだけに、安田さんは悪質なレビューに対して専門家と相談し、開示請求まで持ち込んだことが3度もあったという。
「名誉毀損や威力業務妨害に値するということで、示談の上損害賠償金をいただきました。1件あたり30万~60万ぐらい。レビューの削除を約束に支払っていただきました」
無責任な投稿は常連さんに失礼
そこまでしてレビュアーと向き合うのは、同業者への思いがある。
「うちはできるだけレビューした方全員に返してますけど、ほとんどが返してないでしょう。事実じゃないことを書かれてるのに、なんで言い返さないのかなって。僕は沈黙は同意と同じだと思ってます」
「神様じゃないんですよ、お客さんは。うちも別に奴隷でもないですし。お客さんと対等だと思っているので、毅然とするとこは毅然とする。ご指摘をいただいたところは真摯に受け止めて改善し、謝罪する。感謝するところはちゃんと伝える。結局このメリハリが大事だと思ってます」
「どこのお店とは言いませんが、言われて返せなくて病んでしまったラーメン店の店主はたくさんいますよ」
もちろん、常連さんへの思いもある。「常連さんにも失礼だと思うんですよね。うちの味が好きで来てくれて、店の雰囲気が好きで来てくれてる。その人たちを守るためにもハッキリさせなきゃダメだと思ってやってますね」
後編は、その常連さんからの要望を受けて行ったことについて。そこから見えるラーメン店のルールとマナーとは。
【つづきを読む】後編:客を怒らせても「独自のルール」を曲げないラーメン店の本音。店主が明かす「合理的すぎる理由」とは
