【漫画】本編を読む

 愛犬と暮らしていると「うちの子が世界で一番かわいい」と本気で思う瞬間が何度もある。寝顔を眺めるだけで幸せになり、少し変わった行動まで愛おしく見えてくる。『うちのキャバリアは番犬にならない』(ヤシン/KADOKAWA)は、そんな飼い主の「親バカ」っぷりをユーモアたっぷりに描いたコミックエッセイだ。

 著者のヤシン氏と一緒に暮らすのは、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの「犬ちゃん」。人懐っこく甘えん坊な犬ちゃんは、家族みんなに愛されながら、毎日マイペースに過ごしている。

 犬を飼う人なら思わず頷いてしまう「あるある」エピソードが小気味よい。犬ちゃんをモチモチと撫でまわす至福の瞬間を写真に残そうとするも、両手が塞がりスマホを持てないジレンマに陥ったり、犬ちゃんが早朝から布団の周りをウロウロして可愛いイタズラを仕掛けてきたり、廊下で「とってこい遊び」を始めれば、なぜか一緒に猛ダッシュすることになり、遊び方の方向性がズレていったりなど、何気ないけど賑やかな日常のひとつひとつに、犬ちゃんへの愛情がこれでもかと伝わってくる。

 冬場にお気に入りの毛布に潜り込んだ犬ちゃんは、静電気をバチバチと全身にまとったまま飼い主にすり寄ってきたり、散歩に連れて行こうと準備を始めるとなぜか飼い主の膝の上に乗って邪魔を始めたり。お気に入りの場所からどうしても動きたくないときには、ゴロンと寝転がって「断固拒否のポーズ」を繰り出したりするなど、全身で気持ちを表現する犬ちゃんからどんどん目が離せなくなっていく。

 犬ちゃんの愛らしさはもちろん、「かわいいねぇ」と目尻を下げ、愛情が隠しきれない飼い主の姿まで微笑ましい本作。作品名にある通り、犬ちゃんは番犬としては向かないかもしれないが、家の中を笑顔でいっぱいにしてくれる、かけがえのない家族の一員なのである。ページをめくるたびに「犬っていいな」と再認識させてくれる作品だ。

文=坪谷佳保