年金を受け取りながら働く人や、定年後に再就職する人が増えている。そんな中、年金の通知書や退職後の健康保険退職金の受け取り方には、知らないと損するポイントがある。元市役所職員でYouTuberのみんなの給付金・補助金ちゃんねるさんの著書『元市役所職員ユーチューバーがガチで教える老後のお金の正解』(Gakken)より、一部を紹介する--。(第1回)

■毎年6月に届く年金の書類を見逃さない

年金についての通知書や書類に、しっかり目を通していますか?

「年金通知書はよくわからないし、年金額しか見ていないよ」という人のために、ここで年金通知書の見るべきポイントをお伝えします。まず、そもそも年金は請求しないともらえません。年金を受給できる時期(65歳)の3カ月前ごろになると、年金請求書が送られてきます。

これを年金事務所に提出して請求します。オンラインで提出することもできます。必要な手続きを踏んで、すでに年金が口座に振り込まれる状態になっている人には、毎年6月に「年金振込通知書」が送られてきます。

出典=『元市役所職員ユーチューバーがガチで教える老後のお金の正解』(Gakken)

これには6月から翌年4月までの1年間で支払われる金額が記されています。振込額が変わったときや振込先の口座が変わったときにも送られます。年金額は毎年4月に改訂され、その年の6月分の年金額から反映されます。

年金額が変わると、今度は「年金額改定通知書」が送られてきます。この2つの通知書は、一体型ハガキで届くこともあります。年金額が変更されたときは、新しい年金額と2カ月ごとの支払金額を知らせないといけないので一体型ハガキで届くのですね。通知書が送られてこないときは、いくつか原因が考えられます。

■通知書の右側にある昔の年金額と比べる

年金を担保に借金をしていたことがある
年金を現金で受け取っている
年金が差し押さえられている
会社で給料をもらっている
ほかの年金をもらっているために年金が止められている

このような理由に心当たりがないのに送られてこないときは、登録した住所が間違っているかもしれません。放っておかずに年金事務所に問い合わせてください。また、これらの最新の通知書はとっておくようにしましょう。介護施設に入居するときや賃貸物件を契約するときなどに提出を求められることがあります。再発行もできますが、手間と時間がかかります。

さて、これらの通知書には大事なことが書かれています。年金額改定通知書で見るのは、その増減です。右側に「改定前の年金額」が書かれています。年金額が前年3月に比べていくら変わったのかを見てみましょう。たとえば2024年度は2年連続で年金額が引き上げられ、前年度から2.7%増えました。

出典=『元市役所職員ユーチューバーがガチで教える老後のお金の正解』(Gakken)

また、もう少し細かく見ていくと、国民年金と厚生年金の欄は「基本額」「支給停止額」「年金額」で構成されています。なんらかの理由で支払われない金額があるときは「支給停止額」に金額が入っているはずです。「年金額」は、基本額から支給停止額を引いた、実際に支払われる金額になっています。

年金額改定通知書に書かれていた金額はすべて1年間の金額でしたが、年金振込通知書は違います。

■出し忘れると年金額が減る「申告書」

振込通知書には1回で振り込まれる2カ月分の金額が記載されているのです。こちらの通知書では、どれくらいの税金や保険料が引かれているかを詳しく見ることができます。「引かれる額が急に増えた」「年金がいつもより少ない」と思うときは、なにか手続きを忘れているかもしれません。

写真=iStock.com/Promo_Link
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Promo_Link

年金が少なくなる理由として多いのが「扶養親族等申告書」の提出忘れです。扶養親族等申告書は、控除を受けるときに必要な書類です。対象者にはその年分の申告書が前年の9月ごろから順次郵送されています。これを提出し忘れてしまうと、控除が適用されなくなります。つまり引かれる税金が多くなり、手取り額が減ってしまうのです。

このような提出忘れを防ぐためにも、年金額に大きな変化がないかを確認することが大事です。もし提出を忘れていた場合でも、確定申告をすると控除を受けられるので、その時点で気づけば損はしません。

ほかにも、今年になって配偶者が65歳になったので、加給年金がもらえなくなった、などの理由も考えられます。加給年金とは、年下の配偶者がいるときに年金額に加算される制度です。

■退職日と入社日の間に空白があるなら注意

会社を退職すると、退職日の翌日から現在の健康保険証は使えなくなります。つまり、自分で新たに健康保険に加入しなければならなくなるのです。選択肢は次の4つです。

(1)再就職先の健康保険に加入する、(2)家族の扶養に入る、(3)任意継続被保険者になる、(4)国民健康保険に加入する。

出典=『元市役所職員ユーチューバーがガチで教える老後のお金の正解』(Gakken)

いったいどれを選べばいいのでしょうか。これからお話しすることを理解していただければ、迷いなく選べるようになります。まず、再就職先が決まっているならその会社の保険に加入することになります。

次に、働かない場合は家族の扶養に入れるかを確認します。扶養に入れない場合は、勤めていた会社の保険を任意継続するか、新たに国民健康保険に加入するという選択肢があります。それぞれの選択肢のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

まず、(1)再就職先の健康保険に加入する場合です。入社日が退職日の翌日であれば、とくに手続きは必要ありません。ただし、1日でも空白期間があると、その間の保険加入が必要になります。なお、退職後に再雇用されて同じ会社で働き続ける場合も、ご自身で手続きをする必要はありません。

(2)家族の扶養に入る場合。このケースでは、保険料がかからず経済的ですが、60歳以上の場合は「年収180万円未満」かつ「被保険者の年収の半分未満」という条件が付きます。年金や失業手当も見込み収入に含まれるため、扶養に入れないケースがある点は注意が必要です。

■前の保険を2年間続けられる任意継続

(3)任意継続する場合。この方法、耳慣れない方もいると思いますが、利用している方は案外多くいます。任意継続は、退職前の保険を最大で2年間継続することができる制度です。扶養家族もカバーでき、組合けんぽなら「付加給付」などの手厚い保障もそのまま受けられます。ただし、保険料は会社負担がなくなるので原則在職時の2倍になり、退職後に収入が減っても保険料は一定です。

写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yusuke Ide

そして最後は、(4)国民健康保険に加入する場合です。通称「国保」は市区町村が運営し、前年の所得をもとに保険料が計算されます。前年の収入が少なければ保険料も安くなります。また、自治体によっては失業などによる減免・猶予制度があります。世帯単位の課税なので、家族が多いと負担が増えます。加入するときは、ご自身で役所に行って手続きします。

では、任意継続と国保ではどちらが得なのでしょうか。損得でみると、64歳で年金収入が220万円の場合、初年度は任意継続と国民健康保険保険料に大差はありません。しかし、翌年の保険料が変わってきます。国保だと退職後に収入が下がれば保険料も下がりますが、任意継続では保険料は一定で変わりません。

■医療費を抑えたい人は付加給付をチェック

ただ、医療費を重視する人には、入院費用の負担が軽くなる「付加給付制度」がある組合けんぽの任意継続が有利でしょう。保険料のことを考えると、退職する時期も重要です。結論から言いますと、退職は月末が有利です。なぜか。

みんなの給付金・補助金ちゃんねる『元市役所職員ユーチューバーがガチで教える老後のお金の正解』(Gakken)

健康保険は退職翌日に資格を失います。月末退職ならその月のぶんは会社負担で済み、翌月から国保などに切り替えればよいことになります。一方で、月途中に退職すると自己負担期間が発生してしまうのです。

また、考えるべきは保険のことだけではありません。退職金を受け取るときに「退職所得控除」という非課税枠があることをご存じでしょうか。この枠をうまく使うと、手取りを増やせることがあるのです。ただしこれは、退職日をご自身で選べる場合に限ります。

会社の退職規定などで定められている場合は、難しいかもしれません。退職所得控除の額は「勤続年数」に比例します。あまり知られていないのは、勤続年数が端数切り上げで計算されることです。

■退職を1日ずらすだけで節税になる

たとえば、4月1日に入社した社員が3月31日に退職した場合と、4月1日に退職した場合では、1日のみの在籍でも1年扱いとなるため、たとえ1日違いの退職でも勤続年数は1年違うことになるのです。勤続年数が1年増えると、控除額も増えます。この制度の控除額は、勤続20年以下なら40万円×年数(最低80万円)、20年超なら800万円+70万円×(年数20)です。

写真=iStock.com/years
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/years

退職金はこの非課税枠を超えた部分の「2分の1」に課税されますから、仮に非課税枠が70万円ぶん増えると、課税対象額は35万円減るというわけです。加えて、所得税の税率は5~45%、住民税は一律10%なので、課税額が35万円減れば約5~20万円ほど節税でき、そのぶんだけ手取り額が増えることになります。

退職日が1日違うだけでこれほど差があるなら、退職日を調整して勤続年数を増やしたいですよね。このように、退職のタイミング一つとっても、知っているかどうかで得するか損するかが変わるので、覚えておいてください。

出典=『元市役所職員ユーチューバーがガチで教える老後のお金の正解』(Gakken)

※年金や助成金の制度や税金については、細かな条件がありまた自治体により異なるため、お住いの自治体や年金事務所にお問い合わせください。

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みんなの給付金・補助金ちゃんねる元市役所職員YouTuber
元某市役所職員。市役所での勤務経験から、多くの人が国の制度や給付金・助成金の情報を知らずに損をしている現状に直面。その課題を解決すべく、YouTubeチャンネル「みんなの給付金・補助金ちゃんねる」を開設。複雑な制度を「ガチで」わかりやすく解説する動画が人気を博し、チャンネル登録者数は54万人を突破(2026年5月現在)。再生数が数百万回を超える番組も多く、YouTuber世論調査では企画力・知識・カリスマ性いずれも4.0(5点満点)と高評価。「知らないから損をする」という信念のもと、年金制度の仕組みから賢い受給方法、税金や社会保険料、さらにはシニア層のための資産運用、そして多岐にわたる給付金・助成金の活用法まで、お金に関する情報を日々発信している。
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(元市役所職員YouTuber みんなの給付金・補助金ちゃんねる)