年収800万円、住宅ローンは払えていたのに…マイホームを売ることになった40代夫婦の“誤算”
銀行員として約20年間、住宅ローンの相談を受ける中で、何度も耳にした言葉です。
しかし、今でも忘れられないのが、住宅ローンをきちんと返済していたにもかかわらず、マイホームを手放したお客様です。
ローンが払えなくなったわけではありません。問題は、住宅費が家計を圧迫し、生活そのものが苦しくなってしまったことでした。
今回はその実例をもとに、「借りられる金額」で家を買う怖さと、購入前に確認してほしい3つのポイントをお伝えします。
銀行員時代、40代の上場企業勤務の会社員のお客様から住宅ローンの相談を受けたことがあります。
年収は約800万円。共働きで、夫婦ともに安定した収入がありました。購入を検討していたのは、都内へ通勤しやすいエリアの新築マンションです。
物件価格は約5,000万円。頭金を入れ、住宅ローンの借入額は約4,500万円でした。
35年返済で金利を年1%とすると、毎月の返済額は約12万7,000円です。年収800万円という数字だけを見れば、「これなら返していけそう」と感じる金額かもしれません。
お客様自身も、
「今の家賃とそれほど変わらないですし、この年収なら大丈夫ですよね」
と話していました。
実際、審査も問題なく通りました。ここが住宅購入の難しいところです。
審査に通り、毎月の返済額も現実的に見えると、「無理のない買い物だった」と思いやすくなります。
この時点では、お客様も数年後に自宅を売却することになるとは、まったく考えていませんでした。
◆住宅ローンは払えている。それなのに生活が苦しくなった
マイホームを購入して数年後、お客様から家計について相談を受けました。
住宅ローンは毎月約13万円。返済が遅れたことは一度もありません。
ところが、実際に家計を確認すると、住宅ローン以外の負担が想像以上に増えていました。
マンションの管理費と修繕積立金で月約3万円。固定資産税を月割りすると約1万5,000円。駐車場代も含めれば、住まいにかかる支出は月20万円近くになります。
さらに、子どもの成長とともに教育費が増え、食費や光熱費も上昇。車の維持費や保険料などを合わせると、毎月自由に使えるお金はほとんど残りません。
「ローンはちゃんと払えているのに、なぜか毎月苦しいんです」
お客様のこの言葉が印象に残っています。
住宅ローンだけを見れば月13万円でも、家を持つことで発生する費用まで含めると負担は大きく変わります。

