FBS福岡放送

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シリーズ「飲酒運転ゼロへ」。今回は、日本以上に飲酒運転が深刻な社会問題となっている、お隣の韓国での取り組みについてお伝えします。物理的に飲酒運転をさせないための対策に乗り出すことになりました。

去年11月、韓国ソウルの交差点。次々と歩行者が青信号の横断歩道を渡る中、車が突っ込んできました。

はねられたのは、旅行で訪れていた日本人の親子です。58歳の母親は死亡、38歳の娘は膝の骨を折る大ケガをしました。

現場は観光客が集う、ソウルの東大門です。

■FBSソウル特派員・西山聡記者
「交差点奥から信号を無視して、歩道に突っ込んできた乗用車。こちらのガードポールが倒されていて、乗用車は生け垣を越えて、さらに奥で止まったということです。」

車を運転していたのは30代の男。事故当日、食堂で焼酎3本を飲んでいました。

『どうやって来たのか覚えていない』

男は危険運転致死傷などの疑いで逮捕・起訴され、ことし5月、懲役5年の有罪判決が言い渡されました。

韓国でも、飲酒運転は深刻な社会問題となっています。

去年、日本で起きた飲酒運転事故は年間2283件でしたが、韓国では1万351件でした。

人口が日本の半数に満たない国で、日本の5倍近い飲酒運転事故が起きているのです。

韓国の人たちは、飲酒運転の現状をどう捉えているのでしょうか。

■街の人
Q.韓国での飲酒運転への認識は?
「ほかの国と比べると少し、寛容な面があるのではないでしょうか。罰則も少し軽いと思います。」
「子どもがいるので、胸が痛むような飲酒運転の事故が起きないように、システムが整備されるといいと思います。」

こうした中、韓国ではおととし、酒を飲んだ状態では車のエンジンがかからない「アルコール・インターロック」の装着を一部義務化する法律が施行されました。

対象は、飲酒運転で5年以内に2回以上摘発され、免許取り消しとなった常習者です。

免許を再び取得する場合、アルコール・インターロックが取り付けられた車に限り、運転が認められます。

アルコール・インターロックを取り扱う韓国のメーカーを訪ねました。

■DA Tech オ・ジョンハンさん
「エンジンをかけてから、息を吹き込んでテストに合格した後、ボタンを押すと運転が可能になる装置です。」

記者が酒を飲んで試してみました。

■西山記者
「息を吹き込みます。」
(警告音)
「飲酒感知と表示されました。この状態でエンジンをかけようとしても、エンジンはかかりません。」

韓国では、飲酒運転の再犯者の場合、少なくとも2年は免許を再取得できないため、アルコール・インターロックの義務化が実際に適用されるのは、ことし10月からです。

それでも、飲酒運転を未然に防ぐ対策として、企業向け・個人向けともに需要が高まっているといいます。

■DA Tech オ・ジョンハンさん
飲酒運転した人が道路に出られないようにして、危険を未然に防ぐことで、社会に貢献したいです。」

アルコール・インターロックを導入している企業は、福岡にもあります。

物流会社「福岡倉庫」の福岡営業所では、現在、トラック16台に装置を取り付けています。

■福岡倉庫 ドライバー・堀聖太さん
「夜、深酒をしないなど、自分自身が強い気持ちを持ってやらないといけないですし、インターロックが自分にとって一つのお守りみたいなものと思います。」

導入のきっかけは。

■福岡倉庫 福岡営業所・照本啓介所長
「2014年12月に協力会社が荷降ろし先で、アルコールチェックで反応が出てお客様に迷惑をかけたことが、アルコール・インターロック導入のきっかけです。」

このアルコール・インターロックを2009年から製造・販売しているのが、福岡にも営業所を置く「東海電子」です。

■東海電子 IL推進事業部・茂木和之マネージャー
「欧米諸国ではインターロックの義務化が検挙者に対して決定されていて、国内でも追随してできるようにと開発が進んだ状況です。」

アルコールチェックの結果は、導入している企業のパソコンで確認することができます。

もともとは企業向けのみの販売でしたが、現在は個人向けにも販売していて、これまで個人向けにおよそ70台を設置したということです。

■山本美也子さん(58)
「『アルコール・インターロックがついていますよ』と当たり前の社会になっていくためにも、国の大きな整備が必要です。」

山本美也子さん(58)。15年前、粕屋町で高校生2人が飲酒運転の車にはねられ、死亡した事故の被害者遺族です。

息子の寛大さんは16歳で命を絶たれました。

美也子さんは、飲酒運転の違反者に対し、アルコール・インターロックの装着を義務づけるよう、国に要望しています。

■山本美也子さん
お酒を飲んで車を運転する人たちを物理的に止めていく。そうしたら、加害者も被害者もつくらないわけですよね。インターロックは一番早道だと思います。」

飲酒運転による死亡事故は今も後を絶ちません。

厳罰化や啓発に加え、物理的に止めるための対策を求める声が上がっています。

※FBS福岡放送めんたいワイド2026年8月20日午後5時すぎ放送