※画像はイメージです。生成AIを使用しています

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 自動車のあおり運転は減る気配もなく、今もなお深刻な社会問題として取り沙汰されています。瞬間的な怒りや苛立ちが、ハンドルを握ったとたん凶暴性に変わる--そんな恐ろしい実態が後を絶たないようです。
 今回は、彼女との初ドライブデートで体験した、壮絶なあおり運転の一部始終をお届けします。

◆職場で出会った彼女と夢の初ドライブ

「正直、舞い上がっていたんだと思います。早く彼女をいい場所に連れていってあげたくて」

 そう語るのは、川崎市内の介護施設に勤める宮川さん(仮名・27歳)です。彼女ができたのは2ヶ月ほど前のこと。相手は職場の同期で、初めて見た瞬間に「この人だ」と感じたといいます。小柄でおとなしそうな雰囲気が、まさに宮川さんの好みにぴったりと合っていたそうです。

 二人は、お互いの休暇を合わせてデートを重ねてきました。そんな中で宮川さんが思い立ったのが、初めてのドライブデートでした。免許を取得して日が浅かったものの、レンタカーを手配して行き先に選んだのは、最近リニューアルした郊外のショッピングモールです。ふたりが暮らす川崎からは距離がありますが、それもまた「ちょっとした旅感があっていいかなと」と思ったそうです。

 川崎から目的地までの最短ルートは山間部。カーナビの案内通りに走りますが、カーブが多く道幅もやや狭め。免許取り立ての宮川さんにとっては少々スリリングなコースだったといいます。それでも隣に彼女がいる高揚感が、緊張を上回っていたようです。

◆反射的にクラクションを鳴らしたのが始まりでした

 しばらく山道を進んでいると、前方の細い脇道から黒いSUVがゆっくりと頭を出してきて、思わず「ぶつかる!」と直感した宮川さんは、反射的にクラクションを鳴らしたといいます。

「あとから思えば、もう少し待てばよかったのかもしれません。でも、あのときは本当に咄嗟のことで」

 この一瞬の判断が、悪夢の始まりになりました。SUVはその後ほどなく後方にべったりと張り付いてきたのです。ミラーに映る大きな黒い車体。その距離はみるみる縮まり、あおり運転が始まったのでした。

 道はちょうど下り坂にさしかかり、ブレーキなしでは絶対に走りきれない急カーブが連続する区間なのですが、それでも後続車は一向に距離を取ろうとしません。タイヤをきしませながらなんとかカーブをクリアしても、黒いSUVはピタリと追従している状態です。

「もうダメかと思いました。彼女も半泣きで、私も頭の中が真っ白になって」

 助手席の彼女は声も出せない状態だったとのことで、「左の田んぼに突っ込んで止まろうか」とすら考えるほど追い詰められた状況だったといいます。

◆蛇行に急ブレーキ……。エスカレートする後続車のあおり

 下り坂を抜けると、黒いSUVはついに宮川さんの車を追い越し、前に出てきました。そこから先は、さらにひどい展開を迎えます。

 前方で突然急ブレーキをかけ、宮川さんの車が止まるとまた走り出す--そんな嫌がらせが繰り返されたそうです。さらには蛇行しながら道路をふさぐような動きまで見せたとのことで、もはやドライブではなく恐怖の時間が続きました。

「ハザードランプをつけ路肩に寄せて警察に通報するとか、いろんなことを後から思うんですけど、あのときはただパニックで、逃げることしか考えられませんでした」

 宮川さんが冷静さを取り戻す間もなく、車内には沈黙と緊張だけが漂い続けていたそうです。彼女の手が、ダッシュボードをぎゅっとつかんでいたことを、宮川さんは今もはっきりと覚えているといいます。

 もう終わりだ--そう覚悟した瞬間、遠くからサイレンの音が聞こえてきたそうです。