杉浦太陽と松井玲奈がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30〜7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

8月16日(日)の放送テーマは、「実際はどうだった? 裁判員経験者の声」。最高裁判所 事務総局 刑事局の君塚知弥子(きみづか・ちやこ)さんから、裁判員制度について伺ったり、実際に裁判員を経験した人からの声を紹介しました。


(左から)松井玲奈、君塚知弥子さん、杉浦太陽



◆約97%が「よい経験だった」と回答

2009年から始まった裁判員制度は、国民のなかから選ばれた6人の裁判員が、3人の裁判官とともに刑事裁判に参加する制度です。裁判員は、原則として18歳以上の有権者のなかから無作為に選ばれます。最終的に裁判員に選ばれるまでには3回のくじがあり、全国で1年間に選ばれる確率は、全有権者のうち約1万6,600人に1人(約0.006%)です。なお、これまでに裁判員などを経験した人は約13万6,000人にのぼります。

この制度の目的について、裁判官として裁判員裁判の経験もある君塚さんは、「法律の専門家だけではなく、国民の皆さんの視点や感覚も裁判に生かすためです。また、裁判員の経験を通じて裁判への理解を深め、司法全体への信頼の向上につながることも期待されて始まったんです」と説明します。

裁判員は、3人の裁判官と一緒に公開の法廷でおこなわれる「審理」に出席し、検察官や弁護人が提出した証拠書類や凶器などの証拠物を調べたり、証人や被告人の話を聞いたりします。審理が終わると、非公開でおこなわれる「評議」に進みます。ここでは、裁判官と話し合いを重ねながら、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑にするかを決めます。

ただ、すべての事件が裁判員裁判の対象になるわけではありません。例えば、殺人事件や強盗の際に人を死なせたり、けがをさせてしまった事件、人の住む家に放火した事件など、国民の関心の高い「重大な犯罪に関する刑事訴訟事件」を扱います。

そのため、裁判員にかかる責任は決して軽くありません。2025年に裁判員を経験された方におこなったアンケート結果によると、裁判員に選ばれる前の気持ちとして、約40%の方が「あまりやりたくなかった」または「やりたくなかった」と回答しています。しかし、実際に裁判員を経験した後は約97%の方が「非常によい経験だった」または「よい経験だった」と回答しています。

◆裁判員経験者の声を紹介!

裁判所では、実際に裁判員を経験した人を対象にアンケートをおこなったり、意見交換会を開いたりしています。そこでは、裁判員を経験したからこそ出てくる率直な意見も寄せられており、その声は裁判所のWebサイト https://www.courts.go.jp/saibanin/kouhosha/keikensha_koe/index.htmlでも公開されています。そこで、ここからは裁判員に関する素朴な疑問を裁判員経験者の声も交えて紹介していきます。

まず、松井は「心配になってしまうのは、『自分に裁判員が務まるのだろうか?』ということですよね」と素直に語ります。確かに、法律の知識がなければ、裁判の内容を理解するのは難しいようにも思えます。そんな疑問に対し、裁判員経験者は次のように話しています。

「私は法律の専門用語はまったく知りませんでしたが、検察官や弁護士さんからいただく資料は注釈もあって分かりやすかったですし、分からなかったことを評議の中で裁判官に聞くと全部教えてくださるので、全然問題はありませんでした」

これに、君塚さんも「審理や評議の場で分からないことや疑問があれば、質問していただいて大丈夫です。また、証人や被告人が法廷で話す内容をよく聞いて、疑問があれば裁判員の皆さんも裁判長に申し出たうえで、直接質問することができます」と補足します。

一方、裁判員になることで「トラブルに巻き込まれないだろうか」といった不安を感じる人もいるかもしれませんが、それに対しても対策が取られています。

<裁判員経験者の声>
「被告人に質問するときなども“恨まれるのではないか”という不安が最初ありましたが、服装は自由で、マスクや眼鏡を付けてもOK。呼ばれるときも『一番』『二番』という形で呼ばれて名前が出ないので、あまり心配する必要はなかったです」

裁判員の名前や住所など、個人を特定できる情報は公表されません。また、裁判所内で過ごす場所や移動するルートも、ほかの来庁者とは基本的に分けられていますが、来庁者が出入りしているエリアを移動する際には、必要に応じて職員が付き添います。

また、裁判員同士で話し合う評議について、「みんなと違う意見だったら、発言するのに勇気がいりそう」と感じる人もいるかもしれません。実際、君塚さんがこれまで担当した裁判員裁判でも、裁判員の意見が分かれる場面はあったそうで、「むしろ、最初からみんなが同じ意見ということはあまりありませんでした。私自身も、違った見方をしている裁判員の意見を聞いて、視点を変えて見てみたら事件の違う背景に気付かされて、自分の意見も変わっていくことがたくさんありました」と話します。

◆チームで導く判決

とはいえ、人の人生を左右する判断に関わる以上、責任の重さを感じるのも自然なことです。ここで、裁判員経験者からのこんな声を紹介します。

<裁判員経験者の声>
「人の人生に関わることを、自分一人ではなく、性別や年齢の異なる方々と話し合って、チームとして決めるという得がたい経験ができた」

判決は、裁判員が1人で決めるものではありません。裁判官はもちろん、ほかの裁判員と十分に話し合いながら、チームとして結論を導いていきます。君塚さんは、裁判員裁判の裁判官を務める際、相手の意見がいいと思えば乗り、自分の意見から自由に降りていい「乗り降り自由」という考え方を大切にしていると言います。そして、「世代や背景が違うメンバーで議論するからこそ、結論への道筋に厚みや深みができています」と話します。

一方、仕事をしている人にとって気になるのが、裁判員に選ばれた場合の“休み”についてです。従業員が裁判員に選ばれた場合、会社は法律上、その職務に必要な時間の休みを与えなければならないとされています。実際に裁判員を経験した方からは、こんな声もありました。

<裁判員経験者の声>
「職場ではいろいろな人がフォローしてくれた。貴重な機会であり、今回学んだことは仕事に生かせると考えている」

裁判員に選ばれたことで、普段の仕事についても気付きを得られた人が多いことから、約97%の方が「裁判員をやって良かった」と感じているのかもしれません。

最後に、君塚さんは「裁判員制度は、一定の職業や立場の方だけではなく、国民の皆さんに広く参加していただく制度です。そのため、裁判員裁判は『見て、聞いて、わかる裁判』を目指し、法律の知識がなくても安心して参加できるよう工夫されています。もし裁判員に選ばれたら、前向きにその一歩を踏み出していただければと思います」と話していました。

番組のエンディングでは、杉浦と松井が今回学んだ「裁判員制度」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず松井は“評議では「乗り降り自由」”とスケッチブックに書きました。続いて、杉浦は“裁判員制度は「見て、聞いて、わかる裁判」”と注目ポイントを挙げ、「裁判員経験者の声をもっと知りたい方は、最高裁判所のWebサイト https://www.courts.go.jp/saibanin/kouhosha/keikensha_koe/index.htmlをご覧ください」とコメントしました。


(左から)松井玲奈、杉浦太陽



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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、松井玲奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm https://www.tfm.co.jp/link.php?id=12657