「巻き肩・スマホ首」を同時にリセット…毎朝3分で"ガチガチ肩"を改善する「胸ぐんぐん反らし体操」の動作
※本稿は、鈴木大輔(著)、植田拓也(監修)『じつはすごい! 科学的に証明された本当のラジオ体操』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■肩こりの正体は「肩甲骨」にあった
肩こりの主な原因は、悪い姿勢や運動不足、ストレスなどによる肩や首の筋肉の緊張です。一日中パソコンに向かい、気づけば肩がこわばっている、そんな人は少なくありません。とくにデスクワーク中心の生活では、腕を前に出したままの時間が長くなりがちです。
ところが私たちは普段、腕を前後に動かすことはあっても、真横から真上へ大きく動かすことは、ほとんどありません。そのため肩甲骨まわりや肩関節の筋肉がいつのまにか固まり、動かせる範囲がどんどん狭くなっていきます。これこそが、肩こりや首こり、そして「巻き肩」の大きな原因です。
筋肉は、動かさないと固まってしまう。だからこそ、肩甲骨を大きく動かして“目覚めさせて”あげることが、何よりの特効薬なのです。
■「真横から真上」に大きく腕を回す
その改善に一役買ってくれるのが、ラジオ体操第一の3番目「腕を回す運動」。肩甲骨をぐるぐると大きく動かす、いわば“肩甲骨ぐるぐる体操”です。肩や肩甲骨まわりの筋肉がほぐれ、肩関節の動きがなめらかになります。
ポイントは、腕の軌道を「真横から真上」に通すこと。ひじをできるだけ伸ばし、肩関節を中心に、なるべく大きな円を描くように回します。腕の重さと遠心力をうまく使えば、力まなくても自然と筋肉や関節がほぐれていきます。
②ひじをできるだけ伸ばしたまま、腕を外側へ大きく回します。
③頭上を通して大きく外回し。腕ができるだけ体の真横を通るように意識します。


④肩の高さまで来たら、今度は逆回転。内回しで「真横から真上、真上から真横」と軌道を意識します。①~④を4回くり返します。
背筋はしっかり伸ばし、前かがみになるのはNG。腕が体の前や後ろを通ってしまうと効果は半減するので、「真横から真上」を合言葉にしましょう。

この運動では、三角筋を中心に、肩を支えるインナーマッスル(ローテーターカフ)が連動して働きます。さらに、僧帽筋をほぐして肩こりを改善し、菱形筋を刺激して肩甲骨そのものを動かしやすくなります。
首・肩・肩甲骨まわりや胸の筋肉が気持ちよくほぐれ、デスクワークの人に多い「巻き肩」の改善にもうってつけです。腕の力を抜いて大きく回すほど、肩まわりはふっと軽くなっていきます。
■「スマホ首」を改善する「胸ぐんぐん伸ばし体操」
肩こりとセットで起こりやすいのが、胸が縮こまる「巻き肩」や、頭が前に出る「スマホ首」。これを解放してくれるのが、ラジオ体操第一の4番目「胸を反らす運動」です。腕の動きを使って胸周りの筋肉を伸ばすので、いわば「胸ぐんぐん伸ばし体操」です。
胸の筋肉が硬くなると呼吸が浅くなり、全身に酸素が行き渡らず、疲れやすい体に。胸を大きく開くこの運動で、肩甲骨を寄せ、縮こまった胸の前側をぐっと伸ばしましょう。息を深く大きく吸いながら胸を広げると、肺の奥まで空気が届き、自然と代謝も上がっていきます。背筋がスッと伸びて若々しくなり、浅い呼吸が招く疲労感や集中力の低下を防ぐことにもつながります。
①脚を肩幅くらいに開き、腕は胸の前で交差。手は軽く握ります。

②腕を真横に、肩の高さまでゆったり大きく振ります。
③戻ってくる遠心力を感じながら、腕を胸の前で交差させます。

④息を吸いながら腕を斜め上へ振り上げ、胸を反らせます。手のひらを上に返すと、胸が開きやすくなります。
⑤戻した腕を、また胸の前で交差。①~⑤を4回くり返します。
コツは、腰を反らせてお腹を突き出さず、「背骨の上部だけ」を軽く反らせること。手のひらが下を向いたままだと胸が開きにくいので注意してください。腕を伸ばす動きは、二の腕の引き締めにもつながります。
■「もまない肩こり対策」は“毎朝3分”で出来る
ラジオ体操の動きは、つらい部位に合わせて「2つだけ」組み合わせても効果絶大。これが鈴木先生がおすすめする「ちょいラジ」です。肩まわりの不調には、次の組み合わせを!
肩こりがひどいとき……「腕を回す運動(3番)」+「腕を上下に伸ばす運動(8番)」。

肩甲骨をしっかり動かしながら、すばやい上下運動で血流を一気にアップします。
スマホ首を治したいとき……「伸びの運動(1番)」+「胸を反らす運動(4番)」。縮こまった上体の前側を伸ばし、前かがみ姿勢をまっすぐに正します。

背中がバキバキなとき……「体を前後に曲げる運動(6番)」+「体を斜め下に曲げ、胸を反らす運動(9番)」。

上半身を大きく動かして、背中全体のこわばりをほぐします。

肩を大きく回したり、強弱をつけて動かしたりすると、深部の筋肉まで刺激が届き、固まった筋肉がスッとほぐれていきます。共通するのは、「筋肉は動かさないと固まる」というシンプルな真理。つらくなる前に動かすことが、一番の予防法です。
肩こりは、もみほぐすだけでは根本解決しません。大切なのは、自分で肩甲骨を大きく動かし、固まる前にリセットする習慣です。
今回、ご紹介した2つの動きも、特別な道具やまとまった時間は必要ありません。仕事中や家事の合間に、スマホを見た後などに取り入れるだけで、その重い肩は確実に変わっていきます。
----------
鈴木 大輔(すずき・だいすけ)
体操指導者
埼玉県生まれ。NPO法人全国ラジオ体操連盟理事長・現NHKテレビ・ラジオ体操指導者、日本栄養大学実践運動方法学研究室非常勤講師。2004年、日本体育大学体育学部社会体育学科卒業。埼玉県内私立中高一貫校で保健体育教諭として勤務した後、2010年に社会福祉法人にじのいえ理事長に就任。2016年、聖学院大学大学院人間福祉学研究科修了。同年にNHKテレビ・ラジオ体操指導者、NPO法人全国ラジオ体操連盟理事となり、2024年より同連盟の理事長に就任。ラジオ体操を普及させるため、ラジオ体操講習会やイベントで全国各地を飛び回り、テレビ、新聞、雑誌など様々なメディアにも出演。著者に『じつはすごい! 科学的に証明された本当のラジオ体操』(アスコム)がある。
----------
----------
植田 拓也(うえだ・たくや)
理学療法士
東京都生まれ。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所/東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター副センター長(老年学博士、理学療法士)。昭和医科大学大学院保健医療学研究科兼任講師、桜美林大学健康福祉学群非常勤講師。2010年、北里大学医療衛生学部理学療法学専攻卒業。8年間の臨床経験を経て、2018年より現職。2021年、桜美林大学大学院老年学研究科修了。大学生時代にラジオ体操の効果に注目し研究を開始。現在はラジオ体操をはじめ、老年学、介護予防・フレイル予防、地域包括ケア、地域づくり、通いの場の推進に関する研究を行う。東京都内を中心に全国の自治体における介護予防事業の推進を支援するほか、東京都や厚生労働省の委員を歴任し、現在に至る。監修した書籍に『じつはすごい! 科学的に証明された本当のラジオ体操』(アスコム)がある。
----------
(体操指導者 鈴木 大輔、理学療法士 植田 拓也)
