3年ぶり続編『VIVANT』がついにスタート!放送は夏秋2クールに倍増…前作越えも十分「期待できる」といえる理由
ドラマ史に残るビッグプロジェクト
26日夜、『VIVANT』(TBS系)の続編がスタートする。3年前の2023年夏に放送された前作は、令和のみならずドラマ史に残るビッグプロジェクトだった。
堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、役所広司の主演級5人をはじめ計44人の豪華キャストに加えて、第1話の最後に二宮和也がサプライズ出演。約250人のキャスト・スタッフと約3000頭の動物を集め、約1000キロを縦断したモンゴルロケ。全10話中6話を拡大版として放送。毎週新発売されるグッズ展開、有料のファンミーティング、ロケ地ツアーなどの多角的なマネタイズ。「1話1億円」と言われた制作費なども含め、さまざまな点でこれまでの常識を覆すようなスケールを感じさせられた。
そして続編は放送時間が夏秋の2クールに倍増。さらに前作では盛り上がりを受けて第9話直前にゴールデン特番を生放送したが、続編ではいきなり第1話直前に『VIVANT直前生放送 堺×阿部×二宮が集結!今からでも間に合うSPダイジェスト』が編成されている。
少なくとも前作と同等レベルのスケールを感じさせられるが、『VIVANT』続編は何が期待され、どんな懸念がある作品なのか。いくつかの角度から掘り下げていく。
放送のない1週間も話題の中心に
『VIVANT』が支持された理由はスケールの大きさだけではないだろう。原作・プロデュース・演出を担う福澤克雄監督を筆頭に、制作サイドの覚悟と気迫を感じられる作品だったことが大きい。
なかでも強烈な覚悟を感じさせたのは、放送開始まで徹底して情報を伏せたこと。わかっていたのは出演者とスタッフ、モンゴルロケが行われたことだけで、どんなジャンルのどんな物語なのか。タイトルの意味は何なのか。どんな主人公で何をするのか。どんな人間関係があり、誰が味方で誰が敵なのか。まったくわからない謎だらけの状態で第1話が放送された。
連ドラは「第1話を見てもらわなければそのクールを棒に振ってしまう」「途中から視聴者を増やす作品はめったにない」などと言われ、できるだけ情報公開して開始前の番宣に注力するのがセオリー。
「どんなドラマなのか」を知ってもらうために、作品ジャンルを明確に提示した上で、わかりやすいタイトルやサブタイトルをつけ、あらすじ、人物相関図、キャストインタビューなどで視聴者の興味関心を誘っていく。
『VIVANT』のような情報を伏せる戦略は異例中の異例であり、もし失敗していたら福澤監督らは降格級の責任を取らされたかもしれない。それができたのは当作に懸ける覚悟と、準備してきたことへの自信があったからではないか。
ただ、「放送を見ながら内容を初めて知り、ワクワクしながら引きつけられていく」という過程は連ドラ本来の楽しみ方だけに、視聴者は純粋に未知の作品に没頭していった。
スタート後も謎だらけで、それが解明される前に新たな謎を投入することで視聴者の考察を加速。各話終了の瞬間から次話開始までの1週間、ネット上には考察のコメントが飛び交い、さらにスタッフがXで質問に答えたり裏話を明かしたりなどのコミュニケーションを取ることで盛り上がりを生んでいた。
ネットメディアが記事を量産したことも含め、「放送のブランクとなる1週間も『VIVANT』の話題が絶えない」という状態を作っていたことにあらためて気付かされる。今回もほとんどの事前情報を伏せているだけに、その再現を狙いたいところだろう。
怒涛の展開を見せた前作
あらためて物語にふれると、主人公の会社員・乃木憂助(堺雅人)が130億円の誤送金をめぐる責任を追及され、バルカ共和国に向かうところからスタート。
乃木は送金先を突き止めるが、タクシー運転手にだまされて砂漠に置き去りにされてしまう。さらに現地警察から爆破事故の犯人として追われ、公安警察の野崎守(阿部寛)や医師の柚木薫(二階堂ふみ)らとともに命がけの逃走劇が見られた。
ここまで乃木は「ちょっと冴えない不運な主人公」という印象で視聴者は同情していたが、彼が自衛隊直轄の非公認組織「別班」の諜報員であることが発覚し、見方が一変。しかも一連の出来事は偶然ではなく、バルカに拠点を置く国際テロ組織・テントを追うために起きていたことだった。
その後、乃木はテントの指導者であるノゴーン・ベキ(役所広司)が生き別れた父親であることを知り、ピンチの連続を切り抜けた末に対面を果たす。ベキの懐に入ったことでテロを行う真意を知るとともに親子の絆を確認するが、最後は日本を守るために父を銃で撃って任務を終え、愛する薫と再会したところで終了した。
前例なき自由な放送時間が大作の証
作品ジャンルで言えば、「国内外をめぐる冒険活劇から、テロ組織から国家を守る戦い、父子の運命的な愛憎劇が次々に入れ替わるハイブリッドな作品だった」と言っていいだろう。続編も「刑事ドラマ」「ミステリー&サスペンスドラマ」「ヒューマンドラマ」などの一般的な作品ジャンルに留まらないものになるはずだ。
チーフ演出の福澤監督が原作から手がけたためか、より映像にこだわる作品でもあった。福澤監督と言えば、2013年の『半沢直樹』以降、「顔芸」と言われるほど顔面アップのカメラワークを筆頭に劇画調の人物描写が目立っていたが、『VIVANT』ではそれと同等以上にロケーションにもこだわりを見せた。
何より圧巻のモンゴルロケが「このドラマはまず映像で魅了する」という強烈なメッセージであり、同レベルのアゼルバイジャンロケを明かしている続編でも、同様の美しくも臨場感のある映像が期待できそうだ。
また、第1話は54分、第2話・9話・第10話は25分、第3話・第5話は15分の拡大版として放送したことも規格外を物語るトピックスの1つ。「10話中6話を拡大版(実質13話相当)として放送し、毎話のように放送時間が異なる」という点は配信ドラマと同様であり、局の編成都合よりもクオリティファーストで制作された。続編も無理やり1話60分に収めるようなことはせず、拡大すべきところはしていくのではないか。
ここまであげてきたように、さまざまな点で妥協することなく全力で挑んだことで「見たことがないドラマ」となり、視聴者を熱狂させた様子がうかがえる。
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【つづきを読む】「1話1億円」と言われた前作を超えられるか…『VIVANT』続編の評価を左右する「最大の懸念材料」とは
