心の治療に芸術を 阿南市の病院で「アートセラピー」【徳島】
芸術に触れることで、心の病の治療にアプローチする心理療法「アートセラピー」。
この治療を行っている阿南市の病院に、県出身のプロバレエダンサーが訪れました。
■心の治療に芸術
阿南市見能林町にある精神科病院、杜のホスピタル。
ここでは、リハビリの一環として、庭でイチジクや柿の収穫を行うなど、患者の心の病の治療に、緑あふれる庭を活用しています。
■クラシックバレエも取り入れて
徳島市でバレエスタジオを主宰する、檜千尋さん。
月に2回、病院を訪れ、ストレッチなどを通しての体験型の活動を行っています。
バレエスタジオの卒業生で、徳島市出身の白鳥美穂さんです。
白鳥さんは現在、イタリアでプロのバレエダンサーとして活動しつつ、178センチの長身を生かして、モデルとしても活躍しています。
この日は、患者や職員ら21人が、クラシックバレエの世界を体感しました。
精神疾患を抱える患者には個人差はありますが、他人に理解されないと感じたり、社会との関わりを絶ってしまうなど、多くの人がコミュニケーション障がいを抱えていると考えられています。
■「芸術家は伝える表現のプロ」
(杜のホスピタルリハビリテーション部・石川聡 部長)
「芸術家は相手に伝える表現のプロ、例えば、音楽家が演奏で観客に投げかける」
「そしたら、参加している精神疾患の人が拍手で応える]
「さらには、感動して涙が出たり、楽しかったって感想に変わる」
「その感想に変わること自体が、治療的な効果があるんじゃないかなって」
「そういったところを期待しています」
■言葉に頼らないコミュニケーション
(プロバレエダンサー・白鳥美穂さん)
「クラシック古典のバレエになると、バレエって言葉を使わないんです」
「音楽だけ、あとはダンサーの踊りと身振り手振り、マイムっていうんですけど」
「パントマイムって、みなさん聞いたことありますか」
「まず王子様が現れます、これは姫です、お姫様」
「これは冠を片手で表しています、白鳥の姫です、これは白鳥を真似した動きです」
「あなた見て下さい、向こうに湖があって、私の母の涙でできています、これが涙です」
「お願いします」
これを音楽だけで踊ってみると。
患者らは言葉はなくても、動きや表情で伝えることができる、クラシックバレエの力を感じているようでした。
(プロバレエダンサー・白鳥美穂さん)
「どんなに難しいことをしていたり、難しいことが起こったりしても」
「笑顔でいることで、気持ちが楽になって体が軽くなって、それで物事がうまくいったり」
「みなさんで表情動かしてみましょう」
■「こういう世界もあるんだ」の先に
(参加した患者)
「手の指先から顔の表情とか、頭の先から足の先までの表現力がすごくて、すごい感動しました」
「笑顔、いつでも笑顔」
(杜のホスピタル・髙坂要一郎 理事長)
「薬物療法では、症状をとることはできるかもしれないけど」
「人と人とのコミュニケーションまでは改善するのは難しい」
「人間に興味がもてれば、芸術に興味がもてれば、こういう世界もあるんだ」
「こういう人たちも世の中にいるんだと、再び興味を呼び起こすことができる、それが狙いです」
(あすなろバレエスタジオ・檜千尋さん)
「芸術文化っていうものが、人にとって自分が自分でいるために」
「人と関わって一緒に暮らしていくために」
「患者さんだけじゃなくて、人にとって大切なものだなと」
「こちらに伺うようになって、より強く感じるようになりました」
