松重豊「今のテレビドラマの現状」と迷い明かす シーズン10節目に「続けるか、やめるか」から映画化「孤独のグルメ」
俳優の松重豊(61)が4日、都内で行われた主演する「劇映画 孤独のグルメ」(25年1月10日公開)のジャパンプレミア舞台あいさつに登壇した。
同作はテレビ東京開局60周年を記念し、同局の連続ドラマを特別企画として映画化。「おなかがすいている時にすみません」と笑いながら登場すると、「12年前に小さなテレビ東京の深夜ドラマとして始まった番組が東京国際映画祭の晴れ舞台でご覧いただけるのはとにかく感無量です」と喜びを語った。
今作は松重が監督・脚本・主演の“三刀流”を務める。2年前に放送されたシーズン10の節目には「これから続けるか、やめるか」と継続しないことも選択肢にあったという。その理由に「どんどん若いスタッフも他所へ行ったり、お別れをすることが多くなった。この番組でみんな育っていけばいいのに、そういう環境にはないという今のテレビドラマの現状もあって」と明かした。
それでも、映画化することが決まった。「一回仕切り直そうと。仕切り直して映画」と説明し、「映画化するとはいうけど、ただおじさんが腹減って食べるだけのものをどうやって映画にするのかは相当の力技が必要だなと思った」と振り返った。
当初は松重も仕事をともにしたこともあり、「パラサイト 半地下の家族」などを手がけた韓国のポン・ジュノ監督に監督オファーを打診したが実現しなかった。断られた夜に松重は「ふと、俺、監督しようかなと漏らした」ところ周囲からも後押しを受けて自らメガホンを取ることを決断した。
同作では松重が輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎を演じ、営業先で訪れた土地で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、食べたいものを自由に食す様子が描かれ、1人で食事をする「孤食の時代」を先取りした。「こういう映画で、やっぱり色眼鏡で見られがちな。テレ東の深夜番組が映画になって、しかもその主役をやっていたやつが監督やったらしいよって笑い話にしかならないような試みなので、ぜひ皆さまのお力を借りて、この映画は意外とおもしろいじゃないかと(広めて)」とアピールした。