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3つのデザインエレメント

第4世代となる新型ベントレー・コンチネンタルGTスピードは、ベントレーの伝統となる3つのデザインエレメントを継承している。

【画像】会場にはフライングスパー・スピードの姿も! 第4世代のベントレー・コンチネンタルGTスピード 全125枚

まずはサイドビューの『眠れる野獣』のようなフォルム。リラックスした雰囲気が漂いながらリアフェンダーはマッシブ。フロントは『サラブレッドの美しい立ち姿』からインスピレーションを得たデザイン。そして『エンドレスボンネット』は、ボンネットからボディへと水平に伸びる力強いラインがハイパフォーマンスを想像させる。


新型ベントレー・コンチネンタルGTスピード。サイドビューは眠れる野獣のようなフォルム。    ベントレー

20年の歴史の中でもっとも大胆な変更は、シングルヘッドライトの採用だ。アイブロウを思わせる水平のラインがあり、クリスタルカットガラスのようなデザインがダイヤモンドのごとく煌めき、LEDと相まって強い目力を発揮している。

新型コンチネンタルGTスピード開発におけるメインプロジェクトは、パワートレイン刷新、ソフトウェア、テクノロジーの3点。中でも『ウルトラパフォーマンスハイブリッド』は完全新設計のパワートレインだ。

600ps/800Nm(81.6kg-m)を発揮する4LV8エンジンに、190psの電気モーターが組み合わされ、システム最高出力は782ps、最大トルクは1000Nm(102kg-m)。0-100km加速3.2秒、最高速度は335km/hに達する。そしてクリーンな燃焼により、排ガスも大幅に低減された。また、25.9kWのバッテリーはリアアクスル後方に搭載しており、前後重要配分はベントレー初のフロント49:リア51という理想的なものになっている。

高い静粛性がより際立つ

コンチネンタルGTスピードの試乗ステージとなったのは、千葉県にあるプレミアムな会員制サーキット、『THE MAGARIGAWA CLUB』。全長3.5kmのコースに22のコーナーがレイアウトされる。アップダウンに富み、先の見えないブラインドコーナーも多い。

ピットでスタートボタンを押しても、静粛性は保ったままだ。デフォルトの『ベントレー・モード』は、バッテリーの残量がある限りスタートボタンを押してもエンジンがかからずEVでの発進となるため、時間や場所など周囲に気兼ねなく出かけられる。ちなみに電気のみの航続距離は81km。電動ならではのスムーズな加速で走り出すと、コンチネンタルGTの高い静粛性がより際立つ。


クローズドコースで試乗。会場には4ドアのフライングスパー・スピードも。    ベントレー

いくつかコーナーを抜け、ストレートに出るが、ここでも穏やかにアクセルを踏み込むと、140km/hまでエンジンがかかることなく無音のまま滑らかにスピードが乗っていく。

2周目は、スポーツモードに切り替える。するとエンジンがかかり、野太いエギゾーストサウンドが轟く。とはいえ、決してラグジュアリーからスポーツへ切り替わるのではなく、ラグジュアリーな雰囲気は保ちつつ、スポーティさが増した走りを見せる。どちらのモードも言うに及ばず快適な乗り心地を披露する。注目はパワートレインだけでなく、シャシーも新設計の『ベントレー・パフォーマンスアクティブシャシー』が採用されている点だろう。

具体的には、エアスプリングとデュアルバルブダンパーシステムに加え、アクティブオールホイールドライブ、エレクトロニックリミテッドスリップデファレンシャル、オールホイールステアリング、トルクベクタリング(前後と左右)、アクティブアンチロールシステムであるベントレー・ライド、そしてESCが装備される。

ボディサイズを感じさせない

実際に走っていると、タイトターンでも回頭性に優れ、全長4895mm、ホイールベース2851mmというボディサイズを感じさせないほど「良く曲がる」という印象。リアステアの違和感も皆無で、トルクベクタリングも極めて自然で存在感を消していた。

一方、アクティブアンチロールシステムの存在感は抜群だ。結構な速度でコーナーに進入しても、ほとんどロールしない。見た目や挙措動作はエレガントでありながら、その内側にはマッシブで鍛え上げられた体幹の強さが窺えた。


『究極のグランドツアラー』の片鱗を味わうことができたと、レポーターの佐藤久実。    ベントレー

今回は先導車つきで3周という限られた試乗時間ではあったが、静粛性の高さやフラットライドな乗り心地、パワフルな加速、スポーティなハンドリングなど、ラグジュアリーとスポーツが融合した『究極のグランドツアラー』の片鱗を味わうことができた。

一方、最新世代の電気アーキテクチャの採用により大幅に進化したインフォテインメントやドライバーアシストのテクノロジーは体感する機会がなかったので、改めてじっくりとグランドツーリングを堪能してみたいと、後ろ髪を引かれつつ試乗を終えた。