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海外留学中には様々なリスクが予想されます。なかでも我が子を送り出す親御さんにとって現地での「体調」は大きな心配のタネでしょう。体調不良になってしまうと、せっかく行った留学先で楽しめなかったり、病院にかかることになれば莫大な医療費がかかったり……。本記事では、尾粼由博氏の著書『アフターコロナの留学』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集し、海外で体調を崩す可能性を抑えるために注意すべきことについて解説します。

留学生の6割が経験する体調不良

海外に渡航される皆さんが直面するリスクは様々ですが、数日〜数週間程度の短期留学をされる方にとっては、体調管理が最大の課題と言っても過言ではありません。

[図表1]渡航時における主要なリスク

[図表2]留学生からの支援要請の約6割は体調管理に関するもの

おなかの具合

「おなかを壊す」「食欲がない」といった場合、多くは現地で口にする飲食物による感染症が原因です。

渡航者の多い東南アジアやインドなどでは、屋台で売られている食べ物が非常においしそうに見えることがあります。が、短期の留学で体調を崩すとスケジュールが大きく狂ってしまう場合には、このような食べ物にチャレンジすることはおススメできません。

発熱

もう一つ多くの方が経験している代表的な症状は、発熱を伴う軽い風邪のような症状です。こちらは移動のストレスや環境の変化、緊張による身体への負担なども要因になっていると想定されます。

ちなみに、筆者は獣医学部出身です。動物の場合、牛や豚を100キロ以上輸送した際にしばしば発熱することがあり、こういった症状には「輸送熱」という名前がついています。ヨーロッパやアメリカには10時間以上、長ければ15時間飛行機に乗るわけですから、人間だって発熱することは不思議なことではありません。

短期滞在、特に数週間以内の現地滞在を予定されている方は、次の6つの注意事項を守るようにしてみてください。これだけでも体調を大きく崩す確率をグッと下げられるはずです。

滞在中の体調管理行動、6選

1.生水を飲まない

飲料水が汚染されていると簡単にお腹を壊してしまいます。疑わしい場合には飲まないようにしてください。フタの空いていないボトル入りの水が最も安全です。水道水の場合、1分以上しっかりと沸騰させると安全度は高まります。

2.過熱が十分でない食べ物を食べない

感染症の原因となる微生物も適切に調理ができていれば、口に入れても体調を崩す確率を減らすことができます。基本的に料理は完全に火が通ったものを湯気がたっている間に食べるようにしましょう。特に生の魚介類や生肉、赤い部分が残っている肉などは避けた方が無難です。

3.屋台の食べ物を食べない

屋台で売られている食物は非常においしそうに見えます。しかしながら、材料がどのように準備されたのか、また調理後どの程度の時間が経っているのかわかりません。

4.生野菜を食べない

野菜類は生水をかけながら調理されている可能性があります。野菜を食べる場合は加熱されたものを食べるか、自分で安全な水を用いて調理できるもの以外は避けるようおススメします。

5.シャワーなどの水道水を口に入れない

食べ物、飲み物に気を付けていても生水を口に入れてしまうケースがあります。それはシャワーや洗顔など水道水が直接顔に当たる場面。どうしても避けられない行動ですが、水道水の衛生状態に不安がある場合は、ペットボトルの水を利用するなど工夫して衛生状態を確保するようにしてください。

6.体調が悪い場合の工夫

これまで挙げてきた注意事項を実践していても、どうしてもおなかを壊してしまったり、多少の熱が出たり、という軽い体調不良に見舞われることはあります。日本国内であれば多少無理をして授業に出ることもあるかもしれません。しかしながら海外では深刻な体調不良になる前に早めに休息をとって事態の悪化を防ぐようにしましょう。

特に数カ月以上の長期留学の方は到着直後の無理が留学期間全体に響きます。日本にいるとき以上に「無理をしない」を大切にするようにしてください。おなかを壊してしまった時には紙パックなどの密閉されたフルーツジュース、あるいはしっかり沸騰させた水で淹れた砂糖多めの紅茶などで水分とカロリーを補うこともおススメです。

尾粼 由博

海外安全管理本部/海外安全.jp代表