「外れた?」「たぶん」ドジャース・大谷の会話をマイクで拾った瞬時の判断
【43年ぶり東西名門対決 WS舞台裏】26日のWS第2戦の7回。左肩を痛めたドジャース・大谷と中島陽介トレーナーの会話は二塁ベースに設置されたマイクに拾われ、テレビ中継で大きな反響を呼んだ。
大谷「肩っすね」
中島トレーナー「外れた?」
大谷「たぶん」
過去29年、「FOXスポーツ」で勤務し、現在はチーフ・ベースボール・オーディオ・エンジニアを務めるジョー・カーペンター氏によると、ベースに穴を開けてマイクを通すシステムは96年以降継続しているという。「元々グラウンドの音を拾い、臨場感を出すのが目的。(選手の会話を)“盗み聞き”するためのものではないが、大谷とトレーナーの会話は重要だと判断し、音を拾い続けた」と経緯を説明した。
一塁から本塁まで各ベースの担当者は放送で使えるかどうかを瞬時に判断し、レバーを押し上げてマイクをオンにする。二塁担当だったカーペンター氏の「メジャー最高のスーパースターがケガをしたかもしれないのだから、重要な瞬間だと思った」という決断でリアルかつスリリングな会話が公になった。
大谷の声が中継で流れたことはファンにおおむね支持されたが、実は大リーグ機構の反応は“微妙”だったという。「今後、同じことをすべきではないという感触だった。伝えるべきは選手の会話ではない。会話も軽く楽しいものならいいが、判断が難しい。その日の戦略の会話が放送されると問題」。賛否両論あるが、当初の目的である臨場感を確実に伝えてくれたことは間違いない。(特別取材班)