中国貴州省にトウガラシの世界的取引拠点 1日千トン出荷
中国辣椒城にある遵義紅満坡農業発展のトウガラシ加工工場。(8月23日撮影、遵義=新華社記者/李凡)
【新華社貴陽10月27日】中国貴州省遵義市の新蒲新区蝦子鎮が、現地で栽培の盛んなトウガラシの国際取引の場として発展している。トウガラシの販売や加工、物流などの機能を備えた取引市場として2017年に運営開始となった「中国辣椒城」では、1日平均千トン近くのトウガラシ製品が世界各地に出荷され、毎年1万人以上の業者が取引に参加している。
中南米が原産のトウガラシは明代に中国に伝わり、気候の温暖な遵義市でも香辛料作物として盛んに栽培されるようになった。長年にわたる栽培を経て、上向きに実がなる「遵義朝天椒」をはじめさまざまな品種がつくられている。主要産地の蝦子鎮では1980年代から多くの人々が乾燥トウガラシの大口売買に携わるようになり、トウガラシ取引が盛んになった。
遵義市新蒲新区蝦子鎮にある中国辣椒城。(2022年8月28日撮影、遵義=新華社配信/馮悝)
遵義市トウガラシ産業協会の石永松(せき・えいしょう)常務副会長によると、中国辣椒城の設立は、既存のトウガラシ市場の高度化促進を狙いとしたもので、古くから「トウガラシの町」だった蝦子鎮に大きな商機をもたらした。新蒲新区も中国辣椒城を拠点に、トウガラシのスマート産業パーク、物流パーク、加工パークなどを相次いで設立し、トウガラシの栽培から貯蔵、輸送、高付加価値化に至るまでの産業チェーンを構築している。
粗びきトウガラシ「辣椒面」、トウガラシみそ「辣椒醤」、トウガラシを使ったスナック…中国辣椒城内にある遵義紅満坡農業発展の工場は、各種のトウガラシ加工品の香りで満ちていた。唐捷(とう・しょう)董事長によると、同社は自社の栽培拠点でつくったトウガラシを使い、3万8千平方メートルの現代的な工場で加工を手がけ、年間生産額は1億3千万元(1元=約21円)に上る。今年は海外市場拡大のための製品開発にも力を入れ、乾燥トウガラシ、ラー油、辣椒醤などの加工品をオーストラリアに直接輸出している。
蝦子鎮にあるトウガラシ加工メーカーでトウガラシ製品をライブ配信で販売する従業員。(2023年7月4日撮影、遵義=新華社配信/簡墾)
中国辣椒城では、中国各地のトウガラシ製品が取引されているだけでなく、インドやベトナム、ミャンマー、韓国などのトウガラシ製品も販売されている。同地が扱うトウガラシ製品は、米国や日本、韓国、メキシコなど80以上の国・地域に輸出されている。同鎮にはトウガラシ関連のさまざまな企業が300社近くあり、周辺でトウガラシ産業に従事する人は1万人余りに上る。
新蒲新区の統計によると、中国辣椒城での各種トウガラシ製品の取引額は昨年1年間で約67億元に上った。今年は9月末までに約27万トンが販売され、取引額は約56億元となった。(記者/李凡)
蝦子鎮にあるトウガラシ加工メーカーの研究室でサンプルを調べる技術者。(2023年7月4日撮影、遵義=新華社配信/袁福洪)