「2024年企業のメインバンク調査」(8月21日号掲載)で京葉銀行をメインとする企業のうち、前期比で増収増益率となった企業の割合は39.1%となり、全金融機関でトップだった。千葉県内のメインバンクシェアは、千葉銀行に次ぐ2位(構成比14.1%)だ。7年連続で社数とシェア率を高めており、存在感を増している。
 京葉銀行をメインバンクとする8,002社の分析から、課題解決力の強さも浮かび上がる。


京葉銀行 千葉みなと本部(TSR撮影)


「メイン企業」の本社、県内が9割超

 京葉銀行は1943(昭和18)年の設立で、2023年に創立80周年を迎えた。
 東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースに登録された158万5,849社(2024年3月末)のうち、京葉銀行をメインバンクとする企業(メイン企業)は8,002社だった。メイン企業数は、全金融機関の49位だ。
 8,002社のうち、96.4%の7,720社が千葉県内に本社がある。また、都内に東京支店、東陽町支店、品川支店の3店舗を構えており、都内に所在するメイン企業は218社(構成比2.7%)だった。そのほか、隣接する茨城県に28社、埼玉県に16社、神奈川県に11社が確認された。
 メイン企業の住所を市区郡別でみると、トップは本店のある県庁所在地の千葉市が1,550社で最も多い。以下、2位が船橋市の633社、3位が柏市525社、4位が市原市489社、5位が市川市338社と続く。



店舗別、八街支店がトップ

 取引支店(店舗)別では、最もメイン企業が多いのは「八街」の230社。JR総武本線の八街駅からすぐに立地する店舗だ。
 2位は「柏」の202社、3位は「五井」の189社、4位は「成田」の185社、5位は「本店営業部」の169社と続く。



取引先分析

 メイン企業のうち、直近売上高が判明した7,518社を分析すると、売上高1億円未満が4,420社(構成比58.7%)だった。以下、1億円以上5億円未満の2,258社(同30.0%)、5億円以上10億円未満の438社(同5.8%)と続く。
 8,002社の産業別では、建設業が3,265社(同40.8%)で最も多かった。次いで、サービス業他の1,596社(同19.9%)、小売業の828社(同10.3%)、不動産業の636社(同7.9%)など。
 京葉銀行がメインバンクの企業データから、取引先は中小企業で、建設業やサービス業他、小売業が多いことがわかる。



10年前と比べ取引先の利益が3割増

 今年3月末のTSRの企業データベースから、京葉銀行をメインとする企業の2023年(1-12月期)と10年前の2013年(同)の売上高と最終利益を比較した。比較可能なデータ(売上高約2,200社、利益約1,300社)で分析した。
 2013年の売上高合計は7,433億円に対し、2023年は8,047億円で、2013年比で8.2%増加した。また、最終利益合計は2013年が184億円に対し、2023年は240億円で30.4%増(56億円増)だった。

直近1年で新たに350社がメインに

 1年前は京葉銀行がメインバンクだったが、2024年3月末はメインバンクから外れた企業は197社だった。
 外れた理由については、廃業や解散・合併などが114社で6割近く(構成比57.8%)を占めた。このほか、他行変更が59社(同29.9%)、倒産が24社(同12.1%)だった。
 一方、2024年に新たにメインバンクになったのは350社だった。産業別では、最多はサービス業他の108社(同30.8%)。次いで、建設業78社(同22.2%)、不動産業41社(同11.7%)、小売業37社(同10.5%)と続く。
 本社所在地は、千葉県内が325社(同92.8%)、千葉県外25社(同7.1%)だった。
 市区郡別では、柏市が32社(同9.1%)でトップ。次いで、2位は船橋市の25社(同7.1%)、市川市の23社(同6.5%)、松戸市の21社(同6.0%)、市原市の19社(同5.4%)と続く。
 千葉市以外で多くの取引先を獲得している。



 増収増益ランキングで1位を獲得したが、中小企業への丁寧な課題解決に定評があり、千葉県内の企業から確かな支持を得ている。 
 県内には、千葉銀行や千葉興業銀行もあり、メガバンクや信金、信組も頑張っている。こうした競争と企業との信頼関係が、企業支援を強固に後押ししている。



(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年10月25日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)