河村勇輝

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 「NBA、ロケッツ128−108グリズリーズ」(25日、ヒューストン)

 グリズリーズの河村勇輝(23)が25日、敵地ヒューストンでのロケッツ戦の後半に出場し、NBAデビューを果たした。日本選手4人目で、Bリーグ出身の日本選手としては初めて。第4クオーター終盤に約3分半プレーし、1アシストした。試合は108−128で敗れた。河村はキャンプやオープン戦で評価され、下部Gリーグのチームに所属しながらNBAの試合に一定数出られるツーウエー契約を勝ち取った。身長173センチは現役のNBA選手で最も低い。日本選手では過去に田臥勇太、渡辺雄太、八村塁がNBAにデビューしている。

 日本人4人目のNBAプレーヤーが誕生した。コートに立った時間は、わずか3分34秒。それでも歴史的な一歩に変わりはない。河村は柔和な表情で、デビュー戦をかみしめた。

 「NBAのコートに立つことを目標に渡米を決断した。夢がかなった瞬間は特別だった。機会を与えてくれた監督や関わる人に感謝しかない」

 その瞬間は突然訪れた。104−123と劣勢の第4Q。指揮官から指を差された。河村はすぐさまジャージーを脱ぎ捨て、深く一礼してコートイン。最初はスローインを受け、パスをさばいた。シュートチャンスこそなかったが、短い時間で本領発揮。ノールックでゴール下にいた味方に鋭いパスを出し、得点を演出した。アシスト「1」を記録。司令塔として役割を全うした。

 バスケ経験者の父の影響で競技を始め、小学生時代からチームの中心で活躍してきた。NBA挑戦を見据えてパリ五輪出場を目標に置き、東海大を中退してBリーグに参戦。NBA現役選手の中で最も小さい身長173センチのハンディを補うために、高校生時代の63キロから9キロ増量するなど大型選手と張り合える体を作る努力を重ねてきた。

 昨夏のW杯、パリ五輪で正司令塔として躍動すると、世界の目に留まり、開幕前のキャンプに参加できるエグジビット10契約をグリズリーズと結んだ。その後のオープン戦では全5試合に出場し、主にアシストでアピール。下部のGリーグとNBAを行き来できるツーウェー契約に“昇格”し、憧れのコートに立つチャンスをつかんだ。

 Bリーグ出身としては初のNBA選手で、米留学経験のない河村は新たな道を切り開いたことになる。「ようやくスタートラインに立てた。僕の挑戦はまだまだこれから」。目標を達成しても慢心はない。次は定位置定着を目指していく。

 ◆河村勇輝(かわむら・ゆうき)2001年5月2日生まれ。山口県柳井市出身。18、19年に福岡第一高で全国高校選手権2連覇を果たし、同校在学中の20年に18歳でBリーグ1部(B1)三遠に特別指定選手として加入してデビュー。22年に東海大を中退してプロに転向し、特別指定選手としてプレーしていたB1横浜BCと契約。22〜23年のレギュラーシーズンで最優秀選手賞(MVP)と新人王をダブル受賞した。173センチ、72キロ。