国立感染症研究所戸山庁舎

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 主に子どもの間で夏に流行する手足口病が季節外れの感染拡大を続けている。

 国立感染症研究所の発表によると、13日までの1週間に全国約3000の小児科定点医療機関から報告された患者数は、1医療機関あたり10・78人で、同時期では過去最多となった。

 感染研によると、例年は7月下旬頃に流行のピークを迎える。今年は7月8〜14日に、過去最多の2019年の13・44人に迫る13・34人となった後、減少していたが、8月中旬から再び増加傾向になっていた。都道府県別では、愛媛県が28・25人で最も多く、山形県が26・61人、富山県が25・25人で続き、41都府県で警報基準の5人を超えた。

 手足口病は、飛沫(ひまつ)などに含まれるウイルスに感染することで、手足や口の中に発疹ができる。患者は2歳以下の幼児が半数を占め、多くは軽症だが、まれに脳炎などの合併症を起こす。ワクチンや治療薬はなく、せっけんを使ったこまめな手洗いが予防に効果的だ。

 長崎大の森内浩幸教授(小児科)は「現在流行中のウイルスは、7月までのものと種類が変わった可能性がある。過去にかかった人でも2度目の感染に注意を」と呼びかけている。