私たちが常日頃なんとなく使っている、コンセントなどの電気配線器具。そのなかにおいて、近年広がりを見せているのが、天井に設置する配線ダクトです。配線ダクトとは、照明器具などを取り付けるためのレール状の配線器具。配線ダクトがあるところであれば、器具の配置や向きを自在に調整できるので、空間のカスタマイズ性が高まります。

↑配線ダクトに取り付けられた照明器具

 

電源を上下別々に操作できる配線ダクト「OSライン ダブル」

その配線ダクトのトレンドになりつつあるのが、パナソニックが販売している上下2つの回路を備えたモデル「OSライン ダブル」です。配線ダクトは回路ごとに一斉に電源をオンオフするため、従来の1回路の配線ダクトでは、電源を切るとそのダクトに設置されている器具全てがオフになります。つまり、ひとつの照明を消して、もうひとつをオンにする……といったことはできませんでした。ですが、上下の2回路を備えたモデルなら、電源を上下別々に操作することが可能になります。

↑OSライン ダブルの断面。回路が上下に設置されているのがわかります

 

そしてパナソニックは、この秋、OSライン ダブルのカスタマイズ性を広げるアイテムを、2024年10月21日から発売すると発表しました。それが、「照明用アダプタ L型」「ベース照明用プラグ L型/S型」「ジョイナL」の3点です。

 

OSライン ダブルの機能を拡張するアタッチメント3製品

OSライン ダブルは、パナソニック独自の清潔イオン「ナノイーX」発生装置やスピーカー、リーラーコンセント(天井から電源を取るコンセント)といった、照明器具以外のものも取り付けられるのが特徴です。上下2回路を備えた配線ダクトの特性を活かし、ナノイーX発生装置は常に稼働させ、照明は必要に応じてオンオフする、といった使い方ができます。しかし同社の照明器具は下段の回路に取り付けるモデルしかなかったため、照明を上下別々の回路に分けて設置するのは不可能でした。

↑OSライン ダブルに、照明器具やナノイーX発生器、スピーカーなどを取り付けたところ

 

その問題を解決するのが、今回発売された照明用アダプタ L型です。これを照明器具に装備すれば、OSライン ダブルの上段回路にも取り付けられるようになります。

↑照明用アダプタ L型

 

↑OSライン ダブルに、照明用アダプタ L型なし(左)とあり(右)で照明器具を設置した断面。照明用アダプタ L型ありのほうは、内部で接続部分が上段回路まで届いています

 

また同じ照明器具でも、明るさが一定のものと調光が可能なものを同じ回路上に設置すると、ノイズが発生してしまうという問題がありました。照明用アダプタ L型は、その問題も解決してくれます。

 

ベース照明用プラグ L型/S型は、室内全体を広く明るく照らす照明器具で、非住宅施設に多く用いられるLEDベースライトを配線ダクト上に取り付けられるようにする器具です。上段回路に取り付ける場合はL型、下段回路に取り付ける場合はS型を使用します。

↑ベース照明用プラグ L型(左)とS型(中央)。右のクランプは、ベースライトを配線ダクト上に固定するために使用します

 

↑パナソニックのLEDベースライト iDシリーズ。2022年に累計販売台数5000万台を突破しました

 

ジョイナLは、2本のOSライン ダブルをL字型につなぎ合わせることができるジョイントです。本品を4つ使えば、配線ダクトを四角形にすることもできます。

↑ジョイナL

 

↑OSライン ダブルの両端にジョイナLを繋ぎ、コの字形にしたところ。ロの字形にすることも可能です

 

ただしジョイナLはL字型でしか使えないため、本品を2つ用いてもクランク形状にすることは不可能である点に注意が必要です。

 

ペットショップなど「上下2回路」が店舗やオフィスから注目を集める

パナソニックによると、現状の配線ダクト市場は1回路のものがメインではあるものの、店舗・オフィスを中心にOSライン ダブルの需要も増えてきているそうです。たとえば、動物の毛が床にたくさん落ちるペットショップで、「コンセントを天井から取りたい」「コンセントと照明の電源を使い分けたい」という理由から、OSライン ダブルを導入するという事例があるといいます。今回、機能を拡張するアタッチメントを発売したこともあり、今後、上下の2回路を備えた配線ダクトが当たり前になる時代が来るかもしれません。

↑配線ダクトにリーラーコンセントを取り付ければ、天井から電源が取れるようになります