外国人客を見た目で判断 主要観光地の状況調査を中止に 四国運輸局

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 国土交通省四国運輸局は、毎年実施してきた主要観光地の入り込み状況調査を今年度から中止する。

 対象とする観光地の選定に問題があったことなどが理由としているが、外国人を「見た目」で判断するなど調査方法に問題があったことも一因とみられる。

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 調査は1987年度に始まり、2003年度から四国4県の主要観光地60カ所(各県15カ所)を対象にしている。14年度からは外国人観光客の訪れた施設数と人数も発表していた。昨年度の外国人は24カ所で52.9万人としていた。

 今年7月に昨年度分を発表した際、外国人の調査方法を報道陣に問われた担当者は「見た目で判断している施設があるかもしれない」と言及。具体的な調査方法の指示はしていなかったという。

 ある施設は朝日新聞の取材に対し、「窓口で入場券を購入した観光客を容姿や言葉で判断し、英語でどこから来たか問いかけ、国籍などを判別している」と答えた。担当者は「調査方法に疑問を持っていたが、ほかに方法もなく続けていた」と話した。

 海外にルーツをもつ日本人も増えるなか、肌の色など見た目で外国人と決めつけるような言動は「マイクロアグレッション」と呼ばれ、相手への攻撃になり得る。同局の担当者は「見た目で外国人を判断しているケースがあれば不適切だ」との認識を示した。

 河野順局長は9月の会見で、対象施設が年度により変わってきたことなどを挙げ、「正確性を欠く」などとして中止を表明した。

 今後、調査実績をホームページから削除することも検討するという。(福家司)