英国債に強気の見方、新政権予算案を楽観視=PIMCO幹部

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William Schomberg David Milliken

[ロンドン 16日 ロイター] - スターマー英首相が率いる労働党新政権が投資家を不安に陥れる予算案を発表する公算は乏しく、英国債の先行きは市場が考えているよりも明るい――。米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジング・カンパニー(PIMCO)のシニアバイスプレジデント、ペダー・ベックフリース氏は16日、ロイターのインタビューでこう話した。

リーブス財務相は30日、政権初の予算案を明らかにする。2年余り前には、当時のトラス首相(保守党)が財源の裏付けがない大型減税を打ち出し、国債売りが殺到する事態が起きた。こうした中で市場では、スターマー政権も借り入れを増やすのではないかとの懸念が広がり、最近数週間は国債のさえない値動きが続いている。

しかしベックフリース氏は「今後も英国財政は引き締め的になり、将来にわたって財政赤字は減少するというわれわれの予想は変わらない。過去2年間で見られたような市場に財政運営についての疑問を抱かせるといった予算案を今回政府が発表すれば驚きだ」と語った。

ベックフリース氏によると、イングランド銀行(BOE、中央銀行)と市場が物価と成長率は想定より下振れするといったん認識すれば、市場はBOEがより多くの利下げに動く展開を織り込むようになるという。

その上で「われわれは引き続き英国債を好ましく思っている。その重要な前提は、市場に織り込まれている政策金利の最終到達点がわれわれの想定より高く、物価上昇率の鈍化が続くということだと考えている」と述べた。

英国債は16日、物価データが予想より弱かったため価格が急上昇したが、まだ最近の値下がりの一部を取り戻したに過ぎない。

このためベックフリース氏は、英国債は絶対的な利回り水準だけでなく、今後の値上がり余地という面で魅力的だと指摘した。

英経済については、生産性の伸びが鈍いことや移民規制強化、コロナ禍以降の離職者増加などを背景に成長率がユーロ圏と同様に1−1.25%程度にとどまり続けそうだとみている。