松本若菜©フジテレビ

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 『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)で“昼顔妻”、『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)で“セックスレス”を取り上げてきた三竿玲子プロデューサーが、次に挑む題材は“托卵”。新たな夫婦のタブーを描く連続ドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)が10月17日よりスタートとなる。

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 本作で主演を務めるのは、『やんごとなき一族』(フジテレビ系)や『君が心をくれたから』(フジテレビ系)で三竿プロデューサーとタッグを組んできた松本若菜だ。前クールのドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)では応援せずにはいられないヒロインを好演した松本が、今作では“大切な宝物”を守るために悪女になることを決意し、夫以外の男性との子供を、夫との子と偽って産んで育てる主人公の神崎美羽を演じる。

 本作の放送を前に松本にインタビュー。迷いもありながら今回のオファーを受けた理由や、『死神さん2』(Hulu)以来の共演となる田中圭や、初共演となる深澤辰哉の印象について話を聞いた。

●「いろんな感情が自分の中で渦巻きました」

ーー“托卵”というセンセーショナルな題材を扱う本作のオファーを受けたときの思いについて教えてください。

松本若菜(以下、松本):迷いは……正直なところ、ありました。今作で演じる美羽はとてもやりがいのある役ではありますが、その生き方を肯定できる方ばかりではないと思っています。私も彼女を心から応援することはできませんし、やっぱり人間なので観てくださる方に嫌われたらどうしようという怖さはありました。

ーーそれでもなお、挑戦してみようと思われた理由は何だったのでしょうか?

松本:プロデューサーの三竿玲子さんとは何度か別の作品でご一緒させていただいたのですが、とても明るい方で。ドラマ自体はハッピーな物語ではないにしろ、現場は絶対に楽しいだろうなという確信がありました。今作はそんな三竿さんが何年も前から温めてきた企画。お話を伺っていても、難しい題材に挑むにあたっての意気込みの強さや作品に対する愛情深さをひしひしと感じ、主演という大役を任せてくださったことが本当に光栄で、これはやるしかないなと思いました。今ではこの役を演じて嫌われたらそれはそれで本望だと思えるようになりましたし、自分の代表作と言えるように美羽としてしっかり生きていきたいと思っています。

ーー美羽を演じるにあたって、監督とはどのようなお話を?

松本:監督とは物語自体はダークな雰囲気だけど、お芝居はそれとは切り離していきましょうというお話をしました。田中圭さん演じる夫の宏樹といるときも、暗い演技をしようと思ったらいくらでも暗くできると思うんです。だけど、人間って辛いときこそ明るく振る舞ってみたり、つい空気を読んで作り笑いを浮かべてしまったりしてしまうものですよね。お話が進むにつれて美羽の心境にも変化は起きますが、そういう人間味のある部分は失われないように演じていきたいなと思っています。

新ドラマ『わたしの宝物』 主題歌&本編映像解禁! 10月17日(木)よる10時スタート【#1 】 30秒予告第1弾!ーー予告映像では「だから私は、悪女になる」というキャッチーな台詞も登場していますが、松本さん自身は美羽をどのような役と捉えているのでしょうか?

松本:「悪女」というワードを聞いたときに多くの方は分かりやすいイメージを頭に浮かべると思いますが、美羽はそのイメージとはまた違う悪女になっていると思います。悪女にならざるを得ない理由があり、それがどんどん紐解かれていく中で物語も深みを増していくので、私もそれに応じていろんな悪女の顔を表現できればと思っています。

ーー美羽が悪女にならざるを得なかった部分を、説得力をもって演じていくということでしょうか?

松本:そこが難しいところで。私は不倫に対して肯定はできないのですが、全く他人事ではないとも思っています。不倫もそうですし、今回の題材である托卵も現実世界で実際に起こっていることと聞きました。そう考えた時に、もし美羽が家族だったら、友達だったらって想像すると、いろんな感情が自分の中で渦巻きました。ただ、美羽は誰かに助けてほしいとは思っていなくて。悪女として生きる道を選んだからには、それ相応の罰を受けなければならないという覚悟を持っているキャラクターなので、悲劇のヒロインには見えないように気をつけながら演じています。

●「オンオフのメリハリがある現場です」

ーー撮影が始まってしばらく経つと思いますが、現場の雰囲気は?

松本:私は皆さんよりもクランクインが少し後だったんですが、以前出演させていただいた作品のスタッフさんが多くいらっしゃることもあり、すごく入りやすい雰囲気を作ってくださいました。普段は明るい方が多いので、オンオフのメリハリがある現場ですね。撮影が始まって3週間ほど経ちますが、すっかり阿吽の呼吸ができていて、私としてもすごく居心地がいいです。

ーー美羽の夫・宏樹を演じる田中圭さんのモラハラ夫ぶりはいかがでしたか?

松本:撮影に入る前に私と、田中さん、深澤さんの3人で本読みをさせていただいたんですが、そのときから田中さんは完璧に役を作っていらっしゃって。もちろん、こんな人が旦那さんだったら苦しいだろうなと思うようなキャラクターではあるんですが、宏樹にもバックボーンがあって、田中さんの説得力のあるお芝居でそれが表現されているので、後で第1話からドラマを観返してみると「なるほどな」と納得する部分もあるかと思います。逆に私が演じる美羽がいつも作り笑顔で生活を送っている姿を見てイラっとする方もいるかもしれない。そんなふうにいろんなキャラクターに感情移入できる物語になっていると思います。

ーー深澤さん演じる冬月についてもお聞かせください。

松本:深澤さん演じる冬月くんは美羽の中学時代からの幼なじみで、誰もが「こういう男子いたな」と思うような男の子です。そんな冬月くんがふとしたときに発する言葉が美羽の心の中にはずっと残っていて、何十年ぶりかに再会したことをきっかけに恋心が再燃してしまうんですが、深澤さんは監督から「大人の色気を出して」と言われたみたいで少し悩んでいました。だけど、「どうやって出すんですか!」と冗談を言いつつも、ものすごく素敵に冬月くんを演じられていて。普段、彼がバラエティで見せている顔とドラマでの顔は全く違いますし、また違う魅力が見られるんじゃないかなと思います。

ーーお二人とは現場でどのようなお話をされているのでしょうか?

松本:パッと思い出せないくらい、どうでもいい話ばかりです(笑)。田中さんと深澤さんは私が撮影に入る前に二人だけで番宣に出られたみたいで、そのときに意気投合して、現場でも常に小学生男子のように仲良くお喋りされていますね。私はそこにツッコミを入れる学級委員長みたいな立ち位置で、一緒に遊んでいます。

ーー前クールの『西園寺さんは家事をしない』から2クール連続主演を務めていますが、多忙の中、どのような心境で過ごしているのでしょうか?。

松本:まずはありがたい気持ちでいっぱいです。正直、スケジュール的には大変ですが、やるべきことは変わらなくて。やるからには一つひとつの作品に愛情を注ぎ、いただいた役を最後まで一生懸命演じ切りたいと思いながら過ごしています。バラエティに関してはやはり幅広い世代の方が視聴されているので、オファーをいただけたらできる限り出演して、普段はバラエティしか観ない方にも私という存在を知って、ドラマを観ていただけたら嬉しいなと思っています。

ーー前クールとはまた異なる松本さんが見られるのが、とても楽しみです。

松本:それが役者の醍醐味といいますか、いろいろな人生を生きられるのはこの仕事だけですよね。これから3カ月間、また違う一人の女性として生きていきたいと思っていますので、皆さんにも見届けていただけたら嬉しいです。

ーー最後に、第1話の台本を読んだ感想をお聞かせください。

松本:第1話は怒涛の展開で、「これ以上書くことある!?」と思ってしまうほどのスピード感で進んでいきます(笑)。かといって、一つひとつの要素が薄まることもなく、美羽の心情の変化も繊細に描かれているので、私も丁寧に演じなければと思いました。第2話、第3話とお話が進んでいっても、本当にどうなっちゃうんだろうと思うような出来事が次々と起きるので、観ていただく方にもぜひそんなジェットコースターのような展開をドキドキしながら楽しんでいただければと思います。(文=苫とり子)