CSファイナルS進出を決め、歓喜する新庄監督(中央)と日本ハムナイン(撮影・中島達哉)

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 「CSパ・ファーストS・第3戦、日本ハム5−2ロッテ」(14日、エスコンフィールド)

 「2024 パーソル クライマックスシリーズ パ」のファーストS(3試合制)は14日、エスコンフィールド北海道で第3戦が行われ、日本ハムは新庄剛志監督(52)の采配がズバリと的中するなど、ロッテに逆転勝ち。対戦成績を2勝1敗とし、8年ぶりのファイナルS進出を決めた。セ、パ両リーグともに、ファイナルSは16日に始まり、セは巨人とDeNAが東京ドームで、パはソフトバンクと日本ハムがみずほペイペイドームで対戦する。

 両拳を握りしめて、歓喜をかみしめた。振り向いてコーチ陣とハイタッチを交わした。つかみ取った福岡行き切符。新庄監督は「脚本的にはあと22ページあるんで」とさらにその先を見据えた。

 神懸かり的な采配だった。五回2死、先発・北山が四球を出したところで、守護神・田中正を投入した。156キロの直球でソトを空振り三振に仕留めると七回1死まで続投。打者5人をパーフェクトに抑え、相手に傾きかけた流れを寸断した。

 前日のロッテの継投にヒントがあった。「小島君が四球を出して、ああいう流れ(同点)になったから。北山君のボールが浮き出して『田中君用意して』という形を取りました」と解説した。

 「(元々は)抑えでいこうと思った」と明かす田中正の投入。その理由を「こればっかりは説明できない、説明しようがない」と言う。イニングごとに「“もう1回行くぞ”とアイコンタクトをして。期待に応えてくれました」と明かす。右腕は「無心で、目の前のバッターを一人一人といった感じです」と振り返った。

 ピタリとはまった継投に打線も呼応した。同点の七回2死一、二塁。水野が前進守備の右中間を深々と破る決勝2点三塁打。12球団最多の、32度の逆転勝ちを飾った今季を象徴する戦いだった。

 「いつも言うんですよ。ランナーいないときはあまり期待してないですけど、こういうときの水野君はやってくれるよって」と笑って言う。春季キャンプは2軍スタート。だがベンチプレス140キロを挙げるパワーと堅実な守備を評価して、1軍に昇格させた。

 昇格後は結果を残す姿に「レギュラーは水野くんと万波くん、その2人しか決まってないから」と直接伝えた。負傷離脱もあったが、遊撃を守り抜いた水野は「言ってやりたいですね、2月の自分に。頑張ったらいいことあるって」とヒーローの余韻に浸った。

 「勇気はいりましたけどね」と新庄監督が振り返る采配は、最多勝のエース伊藤をファーストSで温存したこと。ソフトバンク戦の今季の対戦成績は4勝1敗、防御率2・63。敵地だと2勝0敗、1・57に跳ね上がる。日本シリーズに進出するためのシナリオだった。

 CS前に監督室で話し合った。伊藤もファイナル初戦登板を志願。2人の思いは一致していた。「伊藤君が投げるまで勝つ、勝つことだけを考えてこのシナリオは作った」。エースでまずは初戦勝利。脚本通りに、事を運ぶ。

 ◆CSファーストS初戦黒星から勝ち抜け パ・リーグでは17年楽天(対西武)、19年ソフトバンク(対楽天)に続き3度目。セ・リーグは09年中日(対ヤクルト)、17年DeNA(対阪神)と過去に2度の記録がある。