片岡千之助演じる敦康親王
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 吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時〜ほか)の13日放送・第39回では、敦康親王役が子役の渡邉櫂(10)から片岡千之助(24歳)にバトンタッチ。雅かつ悲壮感漂う演技が注目を浴びた。

 第39回「とだえぬ絆」では、中宮・彰子(見上愛)が二人目の皇子を出産し、次期皇位をめぐり公卿たちの思惑が交錯。順当にいけば一条天皇(塩野瑛久)と亡き定子(高畑充希)の第一皇子である敦康親王が東宮と見られていたが、左大臣・道長(柄本佑)は自身の孫である敦成を東宮にすべく水面下で動いていた。

 幼き頃から彰子のもとで笑顔あふれる日々を過ごしていた敦康親王だったが、このところ道長が二人の仲が親密すぎることに疑惑を抱き、敦康親王の元服を急がせるなど一刻も早く二人を遠ざけようと画策。千之助演じる敦康親王が登場したのは、元服の儀を迎える直前のこと。彰子に「元服してしまえば藤壺で中宮様と語らうことも許されぬことを思うと寂しくてなりませぬ。母亡きあと、中宮様にたまわりました御恩、生涯忘れませぬ」と挨拶しながら、今にも泣き出しそうな表情。彰子はそんな敦康親王に「これからも敦康さまをわが子と思い、ご成長をお祈りしております。立派な帝におなりあそばすために……」と励ましの言葉を送ると共に手を取り、敦康親王も到底離れがたいといった感で手を握り返していた。

 敦康親王がいまだ角髪(みずら)姿だったことも相まって、SNSでは突然の成長に驚きの声が寄せられ、2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」から引用した「成長著しい」のワードが連発。道長によって彰子との仲を裂かれようとする姿に「源氏物語」の主人公・光源氏を重ねる声も多く見られ、「敦康さまはおまえの物語にかぶれすぎておられる」「中宮様のお手を取って、もはや危うい」「光る君の真似などされては…一大事である」と彰子と敦康親王の仲を危惧する道長には「それ言っちゃう…」「やっかいな読者だ」「現実と物語を混同する道長」「かぶれすぎているのは道長じゃない?」「あんたが書けって言ったんじゃないか」とツッコミが相次いだ。

 千之助は人間国宝の片岡仁左衛門を祖父に持ち、2004年歌舞伎座で4歳にして初舞台を踏んだ。学業と歌舞伎を両立しながら数々の舞台に出演し、12歳から勉強会として自主公演「千之会」を主催。近年はテレビドラマや映画などフィールドを広げ、初の映像作品となったWOWOWドラマ「黒書院の六兵衛」(2018)では明治天皇に。今年は、「北の国から」シリーズの演出で知られる杉田成道が監督・脚本を務めたドラマ「橋ものがたり 約束」で主演を務め、期間限定で劇場公開。大ヒット映画『九十歳。何がめでたい』では、草笛光子演じる主人公の作家にグイグイ売り込む現代っ子の若手編集者役で強烈なインパクトを放った。そのほか映画では『メンドウな人々』(2023※主演)、『わたくしどもは。』(2024)などがある。

 活躍は国内にとどまらず、2017年にはペニンシュラ・パリで歌舞伎舞踊を披露し、世界的写真家マリオ・テスティーノの被写体に抜擢されるなど、海外にも活躍の場を広げている。

 出演発表時には千之助が、自身の出自を役に重ねながら「光源氏のモデルという説のある敦康親王を演じさせていただけること心から光栄に思います。僭越(せんえつ)ながら、僕自身も家を継ぐというような環境に長男として生まれた身ということもあり、敦康親王も長男としてお生まれになり、本来ならばそのまま皇太子になられるはずが、人々の思惑、また世の中の流れによって、悲劇的な運命をたどられる生涯であったと思います。ただ、悲劇的であったと言いましても、父上や2人の母上をはじめ、いろいろな方に愛されて育った方だと思っております。短い生涯でしたが、そのかけがえのない愛をもらった敦康親王の美しい人物像を僕自身、精いっぱい勤めさせていただきたいです」とコメントを寄せていた。(石川友里恵)