元巨人の槙原さんと笑福亭鶴瓶

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 お互い「敬遠球打ち」を予見していた?元巨人投手で野球解説者の槙原寛己さん(61)が、日本ハム・新庄監督の”伝説の一打”にまつわる秘話を明かした。笑福亭鶴瓶がメインMCを務め、U−NEXTで配信中の「無学 鶴の間」にゲスト出演。1999年6月12日の阪神対巨人戦で、新庄に敬遠球を打たれてサヨナラ負けを喫した場面について振り返った。

 今季パ・リーグ2位にチームを押し上げた新庄監督の手腕について、槙原さんは「若い選手たちをちゃんと育成していて、彼はなかなかのものですよ」と絶賛。そのうえで「敬遠の球もやみくもに打ったわけじゃない」と25年前の伝説のプレーに言及した。

 同点で迎えた十二回裏1死一、三塁の場面で、打席の新庄を敬遠しようと外角にボール球を投じた。だがこれを打たれ、三遊間を破られてサヨナラ勝ちを許した。槙原さんは「あれには裏話があって」と切り出し、新庄が試合前の打撃練習中にコーチの柏原さんに「敬遠来たら打ってもいいですか?」と確認していたエピソードを紹介した。

 自らも現役時代に敬遠球を打ってホームランにした経験があった柏原氏は、当時の監督だった野村克也氏に判断を仰ぎ、OKを取り付けてくれたという。槙原さんは「そうやってちゃんと政治的に話をつけているわけですからね」と新庄の準備、根回しの良さがあっての一打だったと強調した。

 一方で、槙原さん自身も「2、3日前から」敬遠球を打たれる危険性を訴えていたという。「(その時期に)新庄があまりにも打ちまくっていた」ことに加えて、バッテリーを組んでいた光山捕手が敬遠の際にホームベースに近い位置に構えてしまう悪癖にも気づいていた。「光山、お前それは危ないから、そういうのをやめなさいよって僕は言っていた」と注意を促したことを明かした。

 「その日に打たれたんですよ。もうまいりました」と苦笑い。ただ「あれ、ダメですよ」と付け加えることも忘れなかった。「何がダメかって、打つ瞬間に完全にホームベースを踏んでいるんですもん」。野球規則では「打者がバッターボックスの外に出てバットにボールを当てた(フェアかファウルかを問わない)とき、アウトを宣告される」とされている。

 だが、長嶋監督の抗議の声は、甲子園球場を包む阪神ファンの大歓声にかき消されてしまったという。「あの長嶋さんでもなんともできないんですよ。甲子園ってすごいですよね」としみじみと話した。