年齢を重ねることで生じる不便もポジティブにとらえ、乗り越えるアイデアを紹介します。 「自信に満ちた女性を増やす」をミッションに、さまざまなメディアで情報発信をしている文筆家の朝倉真弓さん(50代)は、思いきって老眼鏡を楽しむことで気分が変わったそうです。その経緯を詳しく語ります。

生活に支障はないけれど、見えづらさを感じ始めた50代

この記事を読んでくださっている皆さまは、スマホやPCの文字の大きさを標準よりも大きくしていますか? または、老眼鏡を使っていますか?

【写真】50代、日常の「老眼鏡あるある」

現在50代の私はもう十分に老眼世代なのですが、未だに最後の抵抗として、スマホやPCの文字の大きさは標準のままにしています。細かな文字の文庫本も、懸命に目から離して読んでいます。

ですが最近は、濁点と半濁点の違いがわかりづらくなってきました。ピッなのか、ビッなのか? パリッなのか、バリッなのか? 生活そのものに大きな支障はありませんが、ニュアンスが間違って伝わってしまうのが気になります。「パパ」と「ババ」は、まったく別の人物ですよね。

そろそろまずいと本気で老眼を意識したのは、姿勢や歩きにまつわる書籍『背筋を伸ばしてみたら、私は綺麗だと気づいた』を上梓した2023年、52歳のときです。書籍の試し刷りを「ゲラ」と言いますが、そのゲラの文字が見づらいと初めて感じました。それこそ「パ」なのか「バ」なのか、少し暗い照明の下だと判別できなかったのです。

その後はどんどん手元が見えづらくなり、近視でコンタクトレンズかメガネを使っている私は、メガネを外して裸眼で見るか、コンタクトの上から老眼鏡をかけるのが日常になりつつあります。

抗うよりも、「見えやすい世界」を楽しんだ方がいい

最初の老眼鏡は100円ショップで購入。度数は、友人が持っていた老眼鏡と同じ「+1.50」にしてみました。かけさせてもらったときに、ちょうどよいと感じたからです。

ですが、かけ続けると目が疲れてしまいます。これは老眼鏡だから仕方がないのか、それとも100円ショップの老眼鏡がよくないのか…。そんな折、使い捨てコンタクトレンズを買うために眼科へ行ったときに老眼の相談をしたところ、視能訓練士さんがとても親身になって相談に乗ってくれたのです。

コンタクトレンズで矯正した私の視力は、両眼で1.0程度。視能訓練士さんにいわく、現代人は片目1.0や1.5に矯正してしまうと、かえって手元が見えづらくなるので、両眼で1.0ぐらいがちょうどいいとのこと。そのくらいの視力で生活している私の場合、老眼鏡は弱めで十分。「+1.00」でよいはずというアドバイスをいただきました。

そのアドバイスに基づき「+1.00」の老眼鏡を買ってみたところ、以前のものよりも目の疲れを感じることなくかけ続けることができたのです! やはり自己診断は禁物。最初はプロに計測してもらうべきだったなと反省しました。

その視能訓練士さんによると、「老眼鏡をかけると老眼が進む」ということもないので、老眼鏡と仲よくなって「見えやすい世界」を楽しんだ方がいいとのこと。また、度数さえ合っていれば100円ショップの老眼鏡でもまったく問題ないとも。

老眼鏡は長い時間かけ続けるものではないので適当に考えられがちですが、自分の視力に合っている度数のものを使わないと、目が疲れやすくなるそうです。

「老眼鏡あるある」をひとつひとつなぞっていく日々

そんな私の老眼鏡コレクション、あっという間に増殖中です。

若かりし頃、先輩の「家のすべての部屋とすべてのバッグに老眼鏡を常備している」という言葉に大笑いした覚えがありますが、まさに今の私がその状態に。「ふとした瞬間に必要になるから」という言い訳のもと、少しずつ増えています。

かけていた老眼鏡をヒョイっと頭にずらし、そのまま存在を忘れて捜索…なんてことも、何度やったことでしょう! 各部屋にあるはずの老眼鏡がなぜかリビングに集合していて、ワークスペースに1本もなくなっていることもよくあります。

複数あってもなお、いつもその存在を探しがちな老眼鏡。これも「老眼鏡あるある」でしょうか?

歳を重ねて感じる不便も、軽やかに乗り越えていきたい

老眼鏡について私がSNSでつぶやいたとき、若い友人が「私もそろそろ大人メガネが必要かなと感じています」とコメントしてくれました。

調べてみると、最近は老眼鏡を「大人メガネ」や「大人グラス」「キャリアグラス」などと呼ぶこともあるそうです。「リーディンググラス」という呼び方は知っていましたが、いろいろな言葉が生まれているのですね。

また、ちょっと重たい響きがある「老眼」は「エイジングアイ」と呼ぶこともあると聞きました。英語に言い換えただけではありますが、白髪をグレイヘアと呼ぶのと同様、少しでも前向きで軽やかな印象が生まれるのであれば、それもまたよいのではないでしょうか。

今は使い捨てのコンタクトレンズとメガネを使い分けている私ですが、似合うフレームを見つけたら遠近両用メガネをつくろうと計画中です。また、最近は遠近両用のコンタクトレンズもあるのだとか。これは向き不向きが分かれるようなので、ぜひ眼科で試してみたいと考えています。

歳を重ねることで、不便は増えるかもしれません。でも、その不便の多くは道具や技術で補うことができます。ときには専門家の助言と道具の力を借りつつ、よりよい「老いとのつき合い方」を模索していきたいです。