【巧妙手口】「俺は死ぬ」50代男性が“ミッション詐欺”で101万円被害 最初は簡単に報酬も…徐々に高額参加費の前払いが必須に…妻「夫は聞く耳持たずで」

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SNSで副業を探していた50代男性が、ミッションをクリアすることで報酬を得られる「ミッション詐欺」で約100万円の被害にあった。最初は簡単なタスクで報酬を得られるが、次第に高額な参加費を前払いで要求されたという。被害に遭った夫婦を取材すると「ミッション詐欺」の巧妙な手口が浮き彫りになった。

参加費1万円からスタートも…5万円、15万円と徐々に高額に

「わおー、入金されました!凄い!」と喜びも束の間、50代男性が月収の3倍以上をだまし取られてしまった「ミッション詐欺」について、フジテレビ遠藤玲子キャスターが解説する。

遠藤玲子キャスター:
被害にあったのは50代の夫婦で、実は、妻は詐欺だと気づいていたのに止めることができなかったそうです。取材班が訪ねたのは、埼玉県に住む小川さん(仮名)夫婦です。   

被害にあった・小川さんの妻(50代・仮名):
お願いだからやめてって言ったんだけど、聞く耳持たず。

被害にあった・小川さん(50代・仮名):
聞く耳なかったですね。本当に完全に洗脳されている。

遠藤キャスター:
小川さんは、水道工事業を自身で営んでおり、月収は平均約30万円。「夫婦の老後の蓄え」が出来ればと、SNSで副業を探していたときに目に付いたものがありました。

小川さん:
スクリーンショットを送るだけで、簡単に小遣い稼ぎが出来るっていう事で、それを半信半疑でちょっとやってみようかなと。

遠藤キャスター:
これが、ミッション詐欺の入り口でした。
送られてきた画像を見ると、まず10時〜10時40分の間にTikTok動画のスクショを撮影して送ると、100円の報酬がもらえます。その後、40分おきに同じミッションをクリアしていけば、支払われる報酬も増えていくというものでした。

小川さん:
朝からずっとやってみたら2500円程度の収入はあったんです。実際にお金も振り込まれますし、これは詐欺じゃないなって。

遠藤キャスター:
報酬を受けとった直後の小川さんは大興奮し、「わおー!入金されました!凄い!!」と、詐欺グループにラインすると、さらに高収入のミッションに誘われます。ここで、大きく変わった点が2つありました。1つ目は、参加するために先にお金を振り込む事で、参加費は1万円からスタートし、5万円、15万円と高くなっていきました。

小川さん:
どうしても人間の心理で、(お金を)入れたのを取り返そう取り返そうっていうので、頭がそっち向いちゃいまして。

遠藤キャスター:
2つ目は、より難易度の高いミッションにグループで成功する必要がある事。グループの誰かが失敗した場合も、報酬を受け取ることが出来ません。

小川さん:
たまたま僕も間違えたんですけど、そこで自分も責任を感じてしまった。

遠藤キャスター:
仲間意識をくすぐる巧妙な手口で、20万円ほど振り込んでいた小川さんは、元を取るミッションにチャレンジするために45万円の参加費を支払うよう求められます。しかし、小川さんのお小遣いは月3万円のため、どうしようもなくなり、ここで初めて妻に相談します。

妻が詐欺に気づくも…「お金を出さないと俺は死ぬ」

ーー詐欺だと分かった?
小川さんの妻:
私は、詐欺と分かってましたけど、(夫は)言うこと聞かないんです。「もうお金を出さないと俺は死ぬ」ぐらいに言われて。

遠藤キャスター:
結局、妻からお金を借りて再びミッションに挑みますが報酬を得られず、総額101万円を騙し取られてしまいました。

小川さん:
まともに考えれば、こんなんシカトしちゃえばいいやっていう事だが、なんか追われた気になって。

ーー夫の謝罪は、快く受け止められた?
小川さんの妻:
いや、快くはないですね。

小川さん:
けじめとしてアルバイトとか何かの形で、ちゃんと100万円を返すからと言って、納得してもらったという感じです。もう絶対、そういうことはないようしていかないとなって。

仲間意識で後に引けず…

遠藤キャスター:
詐欺の仕組みが本当に巧妙です。
まず最初のミッションというのが、TikTokのスクショを送信するだけで、報酬が得られるということで、入り口は手軽なため、ゲーム感覚で小川さんも始めてしまったと言います。

高収入ミッションというのは、難易度がさらに高くなっていて、グループでやることで、仲間意識・連帯責任も出てくるので、後に引けなくなります。
しかも、ここで「前払い制」に変わってきます。

青井キャスター:
一回報酬が払われているから、ちょっと信用してしまいますよね。

SPキャスターパックン:
それも全部仕掛けの一つなんですよね。
心理学の鉄則で、間欠的不規則報酬というものがあって、必ずご褒美が出るのではなく、時々失敗して、たまにしか出ないご褒美が欲しくなるんです。

ゲームとかギャンブルだけではなく、動物のしつけにも使えるぐらい、本能的なところで我々が反応するんですよ。自分が興奮してるとか感情的になっていることにまず気付いたら、落ち着こう、気を付けようということです。

遠藤キャスター:
今回のミッション詐欺のポイントが、短時間で要求されることです。今回で言うとミッション失敗した後、「振り込みまで30分以内に行いなさい。そうしないと再挑戦できませんよ」と言われてしまうので、小川さんも結局2時間で約45万円振り込んでしまいました。

青井キャスター:
誰かに相談することも、できないってことですね。

宮司愛海キャスター:
やり始める前に気付くという意味では、こういう詐欺があるということを知っておくことが大事ですね。

青井キャスター:
「そんなおいしい話はない」ということを、皆さんぜひ注意していただきたいと思います。
(「イット!」10月3日放送より)