引退セレモニーでナインに胴上げされる西武・増田(撮影・大泉謙也)

写真拡大

 ◆西武1―5ロッテ(28日、ベルーナドーム)

 最後の速球は渾身(こんしん)の142キロだった。7回、引退試合に臨んだ西武の増田達至は先頭の岡大海との対戦だけを予定して登板。ルーキー時代から長くバッテリーを組んできた炭谷銀仁朗がこの回からマスクをかぶった。

 粋な計らいに戦友のミットをめがけて真っすぐのみを投げ込んだ。岡にはライナーで左前打を運ばれ、ライオンズ一筋12年のプロ生活に終止符を打った。

 最後がヒットに終わり「僕らしい終わり方でした」とクローザーとして緊張感に支配され続けてきた体をねぎらうように笑みを浮かべた。

 試合後の引退セレモニーでは、ファンに向かって「一緒に積み上げてきた(球団最多セーブの)194個の喜びは僕の一生の宝物です」と語りかけると、大きな拍手が湧き起こった。最後はロッテファンとともに、球場がスタンディングオベーションに包まれた。

 悔いが残るのは「日本一になれなかったこと」という。「それは後輩に託したい。実現する時は、皆さんと一緒にここにいたい」。周囲に愛された守護神は、これからもライオンズを見守っていく。(安田栄治)