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 女優の伊藤沙莉(30)がヒロインを務めたNHK連続テレビ小説「虎に翼」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は27日、本編最終回(第130話)が放送され、完結した。話題のシーンを振り返る。

 <※以下、ネタバレ有>

 向田邦子賞に輝いたNHKよるドラ「恋せぬふたり」などの吉田恵里香氏がオリジナル脚本を手掛けた朝ドラ通算110作目。日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹の世界に飛び込む日本初の女性・猪爪(佐田)寅子(ともこ)の人生を描いた。吉田氏は初の朝ドラ脚本。伊藤は2017年度前期「ひよっこ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となった。

 最終回は、佐田優未(川床明日香)は様々な仕事を掛け持ちし、多忙な毎日。猪爪花江(森田望智)もひ孫に囲まれ、平穏に暮らしている。佐田寅子(伊藤沙莉)は星航一(岡田将生)ら皆の暮らしぶりを見守りながら、桂場等一郎(松山ケンイチ)と「法律とは何か」について語り合ってきたことを振り返り…という展開。

 冒頭から約10分は寅子の没後15年、1999年(平成11年)が描かれた。桂場が定年を迎え、最高裁長官を退任したのは1973年(昭和48年)5月。一気に四半世紀、時が進んだ。

 1914年(大正3年)生まれの寅子は、存命なら85歳。寅子より年上の航一は90歳前後とみられる。1943年(昭和18年)生まれの優未は56歳。

 残り約5分となり、時は第129話(9月26日)へ。寅子の横浜家裁所長就任を祝う同窓会が開かれた甘味&寿司の「笹竹」。

 桂場「私は今でも、ご婦人が法律を学ぶことも、職にすることも反対だ。法を知れば知るほど、ご婦人たちはこの社会が不平等で、いびつでおかしいことに傷つき、苦しむ。そんな社会に異を唱えて、何か動いたとしても社会は動かないし、変わらん」

 寅子「でも、今変わらなくても、その声がいつか何かを変えるかもしれない」

 桂場「君はあれだけ、石を穿つことのできない雨垂れは嫌だと、腹を立ててきただろ」

 寅子「未来の人たちのために、自ら雨垂れを選ぶことは、苦ではありません。むしろ至極光栄です」

 桂場「それは君が佐田寅子だからだ。君のように血が流れていようとも、その地獄に喜ぶ物好きは、ほんのわずかだ」

 山田よね(土居志央梨)「いや、ほんのわずかだろうが、確かにここにいる」

 明律大学女子部の面々、玉(羽瀬川なぎ)、轟太一(戸塚純貴)の顔――。

 桂場「失敬。撤回する。君のようなご婦人が特別だった時代は、もう、終わったんだな」

 桂場が団子を口に運ぶのを遮り、寅子は「はて?」――。「いつだって私のような女はごまんといますよ。ただ時代がそれを許さず、特別にしただけです」。桂場の額に付いていた桜の花びらを取った。

 寅子が恩師・穂高重親(小林薫)に激怒した一件も“回収”される展開となった。

 第38話(5月22日)。寅子は講演会のため、母校・明律大学に出向くも、倒れて医務室へ。妊娠と、久保田聡子(小林涼子)中山千春(安藤輪子)が弁護士を辞めたショックを明かし、身の振り方を相談。働きたい寅子に対し、穂高は出産・育児が第一の務めだと説いた。

 穂高「いやいや、世の中そう簡単には、変わらんよ。雨垂れ石を穿つだよ、佐田くん。君の犠牲は、決して無駄にはならない」

 寅子「つまり先生は、私は、石を砕けない、雨垂れの一粒でしかない。無念のまま、消えていくしかない。そうお考えですか?」

 会話は平行線。寅子は「何じゃそりゃ」と“捨て台詞”を吐き、立ち去った。

 第69話(7月4日)。穂高の退任記念祝賀会。恩師が「結局私は、大岩に落ちた雨垂れの一滴(ひとしずく)に過ぎなかった」などとあいさつしているのを聞き、寅子は花束贈呈を拒否した。

 「先生の一言で心が折れても、その後、気まずくても、感謝と尊敬はしていました。世の中そういうものと流されるつらさを知る。それでも、理想のために周りを納得させようと踏ん張る側の人だと思っていたから。私は、最後の最後で、花束で、あの日のことをそういうものだと流せません。先生に、自分も雨垂れの一滴なんて言ってほしくありません」

 「どうもできませんよ!先生が女子部を作り、女性弁護士を誕生させた功績と同じように、女子部の我々に、報われなくても一滴の雨垂れでいろと強いて、その結果、歴史にも、記録にも残らない雨垂れを無数に生み出したことも。だから私も、先生に感謝はしますが、許さない!納得できない花束は渡さない!世の中そういうものだと流されない。それでいいじゃないですか!以上です」

 ポイントは最終回の台詞「自ら雨垂れを選ぶことは、苦ではありません」の“自ら”か。

 SNS上には「同じ雨垂れのことなのに、なぜ穂高先生に言われた時は怒ったのか、の解答がこれですね。当事者が覚悟を決めて雨垂れになるのと、おまえは雨垂れになったが、そこまでだ、と決めつけられるのは違う。たとえ悪意が微塵もなかったとしても」「物議を醸し出した雨垂れの件、当時の寅子は若気の至りで理解できていなかったけど、最後では肯定できたということか。でも、穂高先生が不憫でならない」「地獄を進むかどうかも、雨垂れになるかどうかも、全部自分で決めて自分で進む。それが、このドラマの核だったんだな、とあらためて感じる」「法の世界に導いてくれて、父親の無罪も勝ち取ってくれた恩人に無礼すぎる態度だったのは、いまだに解せない」「ただの雨垂れに過ぎなかったと虚しげに自らを振り返った穂高先生と、後継のため自ら雨垂れを選ぶなら、むしろ光栄と言った寅子。大切なのは、雨垂れであることに誇りがあるかどうかだったんだ」などの声が上がった。

 30日から女優の橋本環奈がヒロインを務める次回作「おむすび」が始まる。