クルマ後部の「謎の羽」なんのため? 街乗りでは“ほぼ意味なし”!? 意外な効果もある「スポイラー」装着するワケとは
「ハイエース」にリアスポイラー装着する目的は?
スポーティなクルマのリア部分(主にトランクリッド上部など)に、「羽」のような細長い突起物が取り付けられているのを見たことがある人もいるでしょう。
これは「リアスポイラー」と呼ばれるエアロパーツの1種ですが、装着するとどのような効果が期待できるのでしょうか。
クルマは走行すると前方向からだけでなく風を受けます。「空気抵抗」というものですが、この空気抵抗はスピードが速くなるごとに増していきます。
【画像】カッコよすぎ!これが車両後方に「羽」を付ける理由です!(23枚)
そしてこの空気抵抗をいかにスムーズに車体後方へと流すかで、操縦安定性や最高速度、燃費などにも大きな差が出ると言われており、そのためにボディ形状を工夫したり、空気の流れを整えるエアロパーツを装着したりします。
レース参戦経験もあり、何十台ものクルマにリアスポイラー取り付けてきたF整備士に聞いてみました。
「車体後部に取り付けられたリアスポイラーは、主にボディ上部の気流を整えて流れやすくすることで空気抵抗を減らす効果を狙ったパーツです。
空気抵抗は前へと進むのを拒むだけでなく、車体を浮き上がらせる『揚力』という力も働きます。
これを整えることで車体を地面に押し付ける『ダウンフォース』という力を発生させ、車体の浮き上がりを減らすことで安定性を高め、かつタイヤからの駆動力を路面に伝わりやすくする効果も狙っています」
リアに取り付けられるエアロパーツとしては「リアウイング」もありますが、リアスポイラーとは効果が若干異なります。
「ボディとの隙間がなく整流効果を狙ったものが『スポイラー』で、羽根のような形状で下部分にも隙間があり上下に通る気流差でダウンフォースを得るために装着されるのが『ウイング』です」
リアスポイラーもリアウイングもダウンフォースで車体を安定させる効果がありますが、リアスポイラーは整流効果を狙う一方で、リアウイングはダウンフォースを目的としているというわけです。
また、リアスポイラーは、高速走行時の車体を安定させる効果に加え、スポーティなイメージを与える効果もあり、市販車の場合はドレスアップ効果を狙って装着されていることが多いようです。
「空気抵抗の少ない市街地走行ではその効果がほとんど得られません。
またボディとの接触部分(主にトランクリッド上部やリアゲート上部)に汚れが溜まりやすいなどのデメリットもあります」
F整備士いわく、リアスポイラーは、やはりクーペやスポーティセダンへの装着がメインとなるようですが、意外に多いのがトヨタ「ハイエース」だといいます。
「ハイエースの性能や使い方、ボディ形状などを考慮すると、実際の効果を期待してというより、スポーティに仕上げたいドレスアップ目的が多いようです。
最近はSUVへの装着希望も増えています。強力な両面テープで固定するものもあるので、1時間足らずで気軽にドレスアップできるのも魅力なのでしょう」
両面テープ装着タイプはDIYで取り付けしやすいのが魅力ですが、注意したいのが取り付け強度です。
そもそもトランクはその構造上、微妙に動きます。リアスポイラーの接着が甘くグラグラするようでは車検には通りません。
またビス留めタイプはドリルでボディに穴を開けるなどの加工が必要など、注意が必要です。
※ ※ ※
一般的な市街地走行ではお飾りになってしまいやすいリアスポイラーですが、高速走行時に少しでも安定性を増すことができます。
メーカー純正オプションのリアスポイラーは基準値以内に設計されており、車検も通ります。社外品などを後付けする場合は規定サイズ以内か確認しましょう。