ウクライナがロシアのスパイ行為を懸念して政府・軍関係者が使用する政府端末でTelegramを禁止
敵国であるロシアがメッセージを傍受する可能性があるとして、ウクライナが政府関係者・軍関係者・重要人物が使用する政府の端末でTelegramを利用することを禁じました。
Національний координаційний центр кібербезпеки | Facebook
https://www.facebook.com/ncsccUA/posts/pfbid0u74F1s1zsCqYYw5qHU3cRVpbB6PMe7QtfEey6TwxgDXWGjNieheBs19FBwTXbRdql
https://www.reuters.com/technology/cybersecurity/ukraine-bans-official-use-telegram-app-over-fears-russian-spying-2024-09-20/
Ukraine government says ‘nyet’ to Telegram app | SC Media
https://www.scmagazine.com/news/ukraine-government-says-nyet-to-telegram-app
Telegramは、ロシア人が立ち上げ、記事作成時点ではドバイに拠点を置いているメッセージングサービスです。セキュリティ性が高いことをうたっていますが、標準でエンドツーエンド暗号化が行われていないなど信頼性に疑問が残るとの指摘もあります。
Telegramはロシアやウクライナで主要なメッセージングサービスとして使われており、Discordのような複数人が参加できるチャンネルを開設できることからニュース配信等にも使用されることがあります。複数の分析によるとウクライナ人の75%がTelegramを使用していて、ウクライナでは約3万3000のTelegramチャンネルが開設されているとのこと。ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領をはじめ、軍司令官や地方・市の役人たちも戦争の最新情報や重要な決定をTelegramで報告しています。
2024年9月20日、ウクライナの国家安全保障・防衛評議会は、軍・政府関係者等が政府支給の端末でTelegramを利用することを禁止すると発表しました。
同評議会によると、ウクライナの軍事情報機関GURの責任者であるキリーロ・ブダノフ氏が「ロシアの特殊部隊がユーザーの個人的な通信や削除されたメッセージ、個人データにアクセスしたという実証的な証拠」を評議会に提出したため、この決定に至ったとのことです。
ブダノフ氏は「私は常に言論の自由を支持し、今後も支持し続けるが、Telegramの問題は言論の自由の問題ではなく国家安全保障の問題である」と指摘しました。なお、今回の決定について、ウクライナ偽情報対策センターの責任者であるアンドレイ・コヴァレンコ氏は「Telegramの制限は個人の端末ではなく政府の端末にのみ適用される」と補足しています。
Telegramはウクライナの発表を非難し、「Telegramはロシアを含むいかなる国にもデータやメッセージの内容を開示したことはない。削除されたメッセージは永遠に削除され、復元することは技術的に不可能。流出したメッセージと称するものはすべて、治安当局に押収されたかマルウェアに感染したデバイスから漏れ出たものであることが証明されている」と指摘しました。