投手・大谷の中継ぎ抜擢の“仰天プラン”に非現実的の声 米記者も異論「重要な局面での登板は大きなリスクが伴う」

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ブルペンでの投球練習も再開している大谷だが、実戦復帰に向けてはいくつかのタスクをこなす必要がある。(C)Getty Images

 メジャーリーグのレギュラーシーズンも終盤戦に入り、地区優勝を巡る争いもヒートアップ。各球団の戦いが今まで以上に熱を帯びている。

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 そうした中で、ポストシーズン進出を睨んだ各球団の戦術にも注目が集まっているのだが、ドジャース大谷翔平に対する現地記者のコラムをキッカケに、ちょっとした論争が起きている。

 去る9月12日にドジャースの地元紙『Los Angeles Times』のコラムニストであるビル・プラシュケ氏は、「プレーオフでショウヘイ・オオタニをリリーフ登板できないのか?」と銘打った記事を掲載。現在、右肘側副靭帯の損傷からの復帰を目指してリハビリ途中である大谷をポストシーズン中にリリーフで起用できないかと論じたのである。

 プラシュケ氏は、ドジャースの中継ぎ陣がシーズン防御率3.56(ナショナル・リーグでは3位)とやや不安を抱えている点から、「ポストシーズンが始まる頃には、オオタニは競争力のあるピッチングをする準備ができているはずだ」と主張。

 さらに「投手・大谷」の復帰に慎重な姿勢を見せているドジャース首脳陣に対しても「世界一になるチャンスがあるのに7億ドルを投資した選手をベンチに置いておこうと本気で思うのか。チームとファン、そしてこの街にタイトルを獲得する最高のチャンスを与えないのは職務怠慢だ」とまで断じた。

 大物記者の意見はSNSなどを通じて瞬く間に拡散。賛否両論を巻き起こした。カナダのスポーツ専門ラジオ局『Sportsnet 590 The FAN』の番組「Blair and Barker」に出演した米スポーツ専門局『ESPN』のジェフ・パッサン記者は「オオタニが『投げたい』という意思を強く持っていて、主治医が許可した場合、そしてオーナーを含めたドジャース首脳陣が支持するのであれば、そのシナリオは十分にあり得る」と指摘。その上で反対意見を提唱している。

「ただ、1年以上も実戦で投げていない選手を、ポストシーズンの一番重要な局面で登板させることには大きなリスクが伴う。それにシーズン中にずっとブルペンで信頼を勝ち得てきた他の投手たちもいる状況だ。彼らを差し置いて、オオタニをリリーバーとして起用することは現実的ではない」

 現地時間9月13日にMLBネットワークのラジオ番組において、大谷の起用法について意見を求められたデーブ・ロバーツ監督は「『可能性がある?』と聞かれたから、『全てにおいて可能性がある』と答えた。これは長期(的な計画が必要)なこと」とキッパリ。「私たちは10月に入るまで、まだ色々なことをしないといけないし、その先もそう」と先を見据えた。

 すでに5度のブルペン投球を行っている大谷は、9月末に打者相手の投球を再開する予定となっている。だが、現時点で負ければ終わりのポストシーズンで投げるのは「非現実的」と言えそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]