退職交渉のコツと難航した場合の対処法

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1.知っておきたい退職の流れ

転職先が決まると、新しい職場に心が向かいがちです。しかし、現職にとってあなたの退職は予想外であり、後任の確保など多くの対応が必要となります。転職に至った理由がどのようなものであれ、丁寧に退職交渉を進めることが重要です。まずは、退職のおおまかな流れを紹介します。

【1~3ヶ月前】上司に退職の意思を伝える

内定をもらったら、まずは直属の上司に退職の意思を伝えるため、面談の時間を設定しましょう。以下の例文を参考に、メールや口頭で依頼するのが望ましいです。この時点ではまだ退職の意向は伝えないようにしましょう。

上司のアポを取る例文(口頭)

◯◯さん、今後のことでご相談したいことがあります。ご都合のよろしい日にお時間をいただけますでしょうか。

上司のアポを取る例文(メール)

◯◯さん(役職があれば◯◯部長など)

 

お疲れ様です。◯◯です(氏名)。

 

今後についてご相談したい件がございます。

つきましては、◯◯さんのご都合のよろしいときに、15分程度お時間をいただくことは可能でしょうか。

 

なお、私は下記時間帯が空いております。

◯月◯日(月) 16時~18時

◯月◯日(火) 10時~12時

◯月◯日(金) 16時~18時

 

ご多忙の折恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

面談当日は、時間を割いてくれたお礼を上司に述べてから、以下の例文を参考に退職する意思を明確に伝えましょう。

上司に退職を伝える例文

お忙しいなかお時間を割いていただき、ありがとうございます。

急なことで恐縮ですが、かねてから在宅医療に携わりたいとの思いがあり、この度訪問看護ステーションに転職することになりました。

こちらの病院で経験させていただいたことに感謝しております。この経験をもとに転職先でも頑張りたいと思っています。

 

つきましては、退職の日にちについてご相談させていただきたいです。

【1~2ヶ月前】退職日の決定・退職届を提出

転職先が決まっていたら、入社日より前の最終営業日を退職日とするのが理想とされています。退職から入社までに空白期間があると、国民保険や年金の手続きをする必要があるためです。

就業規則に退職に関する規定がある場合は、上司から退職の合意を得たあとに退職届を提出します。規定がなく、会社と合意が取れていれば退職届を提出する必要はありません

また、退職を受け入れてもらえない場合は、上司のタイミングを見計らい、再度退職の意思を伝えてみましょう。その際、退職したい理由と退職希望日も伝えるとよいでしょう。それでも聞く耳を持ってもらえない場合は、最終手段として配達証明付きの内容証明郵便を使って退職届を郵送することで、会社が退職届を受け取った事実を証明できます。

退職届の書き方はこちらの記事を参考にしてください
退職願・退職届の正しい書き方と渡し方(テンプレート・封筒の書き方見本付き)

【1ヶ月前】業務の引き継ぎ

あなたの退職が社内で正式に告知されたら、引き継ぎをおこないます。後任が決まっていれば一緒に引き継ぎをおこない、未定の場合は後任者が困らないよう、わかりやすい引き継ぎ書やマニュアルを作成しましょう。

【2週間前】社外への挨拶

担当していた顧客や関係者に向けて、退職の挨拶をおこないます。直接会う機会があれば後任と一緒に訪問し、スケジュールが合わなければメールで、これまでお世話になったお礼を伝えましょう。

【退職日】社内への挨拶・貸与品の返却

退職日には社内で退職の挨拶をするほか、机やロッカーの清掃をおこないます。また、制服やパソコン、携帯電話、社員証などの貸与品を返却しましょう。

2.退職交渉のポイント

就業規則の退職申告期限を確認する

退職日の何日前までに申告する必要があるのか、転職活動を始める段階で就業規則を確認しておきましょう。民法627条には退職の2週間前までに申し入れれば、会社の承諾がなくても退職できると定められていますが、就業規則では退職日の1~3ヶ月前までと規定されていることが一般的です。

有休をすべて消化したい、ボーナスをもらってから辞めたいと思うのはもっともですが、すべての希望条件を通そうとすると退職交渉が難航する恐れがあります。円満に退職するためには非現実的な退職日を避け、後任の決定や引き継ぎ期間も考慮して、会社と話し合って退職日を決めることが大切です。

直属の上司に一対一で話す

転職先が決まったら、まず直属の上司に退職の意思を伝えることが大切です。上司より先に上役や人事に報告してしまうと、上司の立場を損ない、円満退職が難しくなる可能性があります。

また、退職の意思は会議室などの個室で伝えましょう。周囲に聞かれると噂が広まり、退職まで過ごしにくくなる懸念があります。

相談ではなく報告する

すでに転職先が決まっており、退職の意思が固い人は相談ではなく決定事項として報告しましょう。「退職を考えている」という曖昧な表現だと、上司も相談されているのかと勘違いしてしまい、引き止めにあう可能性があるためです。

また、転職理由を尋ねられた場合は、やりたいことへの挑戦など前向きな理由を伝えるのが無難です。たとえ本当の理由が待遇面や人間関係にあったとしても、不満や愚痴と捉えられる内容は正直に伝えるのは避けましょう。

転職先にも連絡する

内定後につい忘れがちなのが、転職先とのコミュニケーションです。入社時期について最終面接ではっきりと答えていない場合は、退職日のめどがついた時点で連絡しましょう。

3.退職交渉が難航した場合の対処法

意思の固さを示す

重要な役職についている人や、会社が人手不足の場合は、引き止めや退職日の延期を提案される可能性があります。転職の意思が固い場合は、「決定事項」として前向きな気持ちを伝えましょう。

ただし、冷静な判断も必要です。現職での待遇改善や他部署への異動などを提示された場合は、現職と転職先のどちらが自分の希望を叶えられるか考えて判断しましょう。

また、退職の意思を伝えたにも関わらず、会社から何も回答がない場合は、再び直属の上司に申し出て進捗状況を確認します。上司が忘れていたり、人事に伝わっていなかったりする可能性もあるため、積極的な働きかけが大切です。

具体的な引き継ぎプランを提示する

後任が見つからないなどの理由から引き止めにあうことも考えられます。その際は、業務を後任の担当者ではなく組織に引き継ぐと考え、誰が見てもわかる業務マニュアルや引き継ぎ資料を作成しましょう。どのような業務でも時間をかければ分担できます。

4.思いやりを持って円満退職を目指そう!

退職交渉は淡々と進めるのがおすすめです。転職先はあなたの入社に向けて準備を進めています。退職交渉が難航しそうな場合は、転職先に早めに連絡し、状況を伝えましょう。円満退職で大切なのは、現職、転職先双方に思いやりのある対応を心がけることです。皆さんが円満に退職できることを応援しています!