とちぎテレビ

栃木県教育委員会は19日に臨時の記者会見を開き、栃木市と那須塩原市にある特別支援学校の寄宿舎について、今年度末をもって閉舎することを正式に決定したと発表しました。

(阿久澤 真理教育長)

「共生社会の実現に向けた将来展望や、直近の課題への対応、教育の充実などを総合的に勘案し、令和6年度末で閉舎するということを決定いたしました」

県教育委員会は7月、県内4カ所で保護者らとの意見交換会を開き、そこで栃木、那須の特別支援学校の寄宿舎を今年度いっぱいで廃止する、新たな方針を示していました。

保護者からは、「急すぎる」と反対の声もあがっていましたが、有識者らによる検討委員会の報告書で「今後は障害の有無に関わらず、地域社会で学ぶ教育が望ましく、発展的に解消すべき」としたことなどを踏まえ、変更はしませんでした。

阿久澤 真理教育長は「県内に知的障がいの福祉支援学校の設置が進んできたことや交通網の発達、施設の老朽化などがあげられる中で、タイミングや将来展望などを総合的に判断した」と説明しました。

特別支援教育の充実に向けて、県教育委員会は今後、宇都宮市にある岡本特別支援学校に新校舎を整備し「知的障害教育部門」を設立することや、寄宿舎の指導員をそれぞれの学校に配置するとしています。また遠距離の生徒用にスクールバスを配車するほか、長期的には分教室の設置の検討も進めます。

両校の寄宿舎を巡っては、県教育委員会が2021年に23年度末で閉舎することを発表しましたが、存続を求める保護者らの反対を受けて延期した経緯があります。今回の決定を受け、那須特別支援学校の寄宿舎の存続を求める会は「障害のある児童生徒の成長の場を奪わないで」とする声明を阿久澤教育長に提出しています。