果たして、28年のLA五輪に大谷翔平は参加できるか 米記者も論じたメジャーリーガー招集問題の“焦点”は?

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多くのメジャーリーガー参加が認められて久しいWBC。だが、オリンピックではいまだに問題が山積している。(C)Getty Images

 壮大なセレモニーで終わりを迎えたパリ五輪。花の都で100年ぶりに開催された“スポーツ祭典”が無事に閉幕すると同時に早くも関心を高めているのが、2028年に開催されるロサンゼルス五輪だ。

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 現地時間8月11日にパリで行われた閉会式にハリウッドスターのトム・クルーズや、アーティストのビリー・アイリッシュを登場させるなど、ロサンゼルス五輪に向けた現地五輪委員会の力の入れようは相当だ。

 そんな期待が高まる大会において、ひときわ注目を集めているのが、五輪競技として復活する「野球」だ。“本場”米国での大会とあって過去の五輪とは異なり、現役メジャーリーガーたちの参加が実現するか否かがさまざまに論じられている。

 もっとも、現時点でMLB(大リーグ機構)は明確な立場を表明していない。過去の五輪において全30球団の40人ロースターに入っている選手たちの参加を認めた実績はない。さらにシーズン中に開催される五輪の出場を認可する上では、レギュラーシーズンのスケジュール問題、さらにはその間に生じる保険料の負担先など、さまざまな問題を解決する必要があり、今回も出場が厳しいのではないかという見方は少なくない。

 ただ、野球を国際的にアピールできる絶好機だ。すでに出場に前向きな意向を公にする選手もいる。大谷翔平(ドジャース)もそのうちの一人で、今年7月のオールスターゲームの前日会見で「出たい気持ちはもちろんある」と語っている。

「国際大会はもちろん特別だと思うし、オリンピックも特別だと思う。特にオリンピックは、ふだん野球を見ない人も見る機会が増えてくるので、そういう意味では野球界にとっても大事なことかなと思う。個人的にも出てみたいなという気持ちはもちろんある」

 大谷のようなスター選手の発言を受け、米国内でも機運は徐々に高まっている。米版『Yahoo! Sports』のジェイク・ミンツ記者は、NBAのオールスター級のメンバーが集ったパリ五輪の米バスケットボール代表の激闘を「世代を代表する選手たちが世界的な舞台で輝いたことは、バスケ界にとっても画期的な瞬間だった」と絶賛。その上で「ロサンゼルスでのオリンピックで球界の最も輝かしいスターたちが輝く方法を見つけることもできるはずだ」と指摘した。

「大会形式にもよるが、基本的にオリンピックの野球競技は6日から12日間で、6チームまたは8チームが参加するものだ。すでにオールスターブレイクのためにシーズンを一時的に停止できているMLBは、オールスターをこの1年だけ中止にし、休養期間を延長、さらにシーズンそのものを早めに開始すれば、国旗を背負うブライス・ハーパーやショウヘイ・オオタニを全国ネットワークで観戦できるはずだ」

 無論、メジャーリーガーの参戦に対する課題は山積している。選手たちの意向はもちろんながら、一時的にスターを貸し出す形となる全30球団のオーナーやGMをはじめとするフロント陣は、何よりも故障の懸念を抱いており、そこで折り合いをつけられるアイデアが捻出できるかは、大きなポイントになりそうだ。

 オリンピックへの大物メジャーリーガーたちの参加はメリットも多分にある。この先の4年間で米球界がいかなる答えを見出すかは興味深く見守りたいところだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]