坂本勇人

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輝かしい記録の裏側で…

 今年5月、週刊新潮が報じた、巨人の大黒柱・坂本勇人(35)が約1億円もの申告漏れを税務当局から指摘されていた一件。騒動が明るみに出た際には、実の兄からも「一般的にはおかしい。あれだけ稼いでいるんやから」とあきれられていた坂本だが、肝心の野球については近頃好調なようで…。(以下、「週刊新潮」2024年5月23日号をもとに加筆・修正しました。日付や年齢、肩書などは当時のまま)

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 5月11日のヤクルト戦で4連勝を飾った巨人は、およそ2年ぶりとなる単独首位に浮上した。が、翌12日には逆転負けを喫し、一夜にして陥落。阪神にその座を明け渡してしまったのだった。

坂本勇人

「この試合で坂本は6回にライト前ヒットを放って通算2351安打とし、日本歴代13位の川上哲治に並びました」

 とは、スポーツ紙デスク。

「直近の試合で精彩を欠いていた坂本にとっては16打席ぶりの安打となりました。当日は“母の日仕様”でバットからスパイクまでピンク色にそろえて臨み、試合後は17年前に47歳で亡くなった母親について『感謝の気持ちはいろいろあります』と、思いを口にしながら『もっと状態を上げて貢献できるように』などと意気込みを語っていました」(同)

 亡き母に捧げた一打は、「打撃の神様」に並ぶメモリアルヒットとなったわけだが、そうした快挙と相前後し、球界の盟主の一員にはおよそふさわしくない行為が、税務当局から指摘されていたという。

坂本勇人

「高級クラブに年間2000万円」

 東京国税局のさる関係者が明かす。

「渋谷税務署が管轄する渋谷区には、多くの高額納税者が住んでいます。そこで同署は、区内在住のスポーツ選手を対象に、納税が適正に行われているかを重点的に調べる方針を昨年夏に打ち出し、水面下で作業を進めてきました。その過程で、少なからぬ金額の申告漏れが疑われるアスリートが複数人浮上したのですが、うち一人が坂本選手だったのです」

 坂本への本格的な税務調査は、昨シーズン終了後から始まったというのだが、

「渋谷署の見立て通り、坂本選手は、毎年の確定申告で銀座や六本木などの高級クラブなどの飲食費を必要経費として計上していました。金額にして年間およそ2000万円。直近の5年をさかのぼって調べたところ、毎年のようにこれを続けており、総額で約1億円もの過大な経費の計上が確認されたのです」

修正に応じる姿勢を示さず…

 そもそも、プロ野球選手の飲食費が必要経費として認められるケースはあるのだろうか。

「税務申告において、必要経費であるかどうかは『自らの収入を得るために必要なのか否か』を基準に判断されます」

 とは、税理士の浦野広明氏である。

「プロ野球選手であっても、例えばバットやシューズメーカーの人との飲食なら経費に計上できる、といった基準はありません。その会食を催すための根拠となる大義名分があるかが重要になります。一人で、あるいはチームメイトと飲食した場合、その費用は『収入を得るための手段』とは考えにくい。私的な支出である以上は必要経費とは認められませんが、にもかかわらず毎年計上していたのであれば『悪質な申告漏れ』ともいえるのではないでしょうか」

 先の国税局関係者は、

「指摘を受けた坂本選手は“見解の相違”を理由に、すみやかに修正に応じる姿勢を示さなかったといいます。本人の確定申告は毎年、親族が代表を務める個人事務所が主体で行っているのですが、『これまで飲食費は認められてきた』などと主張していると聞きました」

巨人側の見解は

 坂本は2022年、内野手として史上初の推定年俸6億円に到達。今季も同額のまま、ヤクルトの村上宗隆と並んで年俸ランキングのトップに立っている(外国人選手を除く)。今回は、その収入に比例するかのように散財もまた度外れていた実態があらわになったわけだが、あらためて球団に尋ねると、

「(坂本)選手本人の税務申告は顧問税理士が行っています。税務申告に関し、管轄の税務署と協議を続けているところですが、税務署の指導に従い、適正な申告、納税を行う所存です」(読売巨人軍広報部)

 そう前置きしつつ、

「ただ、悪質な申告漏れや所得隠しを指摘されたことは過去になく、今回もそのような指摘を受けておりませんし、修正申告をした事実もありません」(同)

 税務署との協議を続けているとは認めつつも、「悪質な」申告漏れではない、が球団側の見解ということになる。しかし、先の国税局関係者が証言するように「飲食費」を必要経費として認めてもらいたいがための「協議」は、一般の理解を得られるものなのか――。

坂本の兄は「一般的にはおかしい。あれだけ稼いでいるんやから」

 前述のように亡母への思いを語っていた坂本は幼少時、6歳年上の兄の影響で野球を始めたという。そこで、首位打者やリーグMVP、ベストナイン、東京五輪金メダルなど輝かしい実績の「礎」をつくったともいえる兄に聞くと、

「勇人とは5年くらい会っていません。税金のことも、僕はまったくノータッチです」

 としながら、今回の件については、

「(私的な飲食代を経費で計上するのは)一般的にはおかしいやろうし、普通の会社員はしないでしょう。あれだけ稼いでいるんやからね……」

 そう疑念を呈すのだ。

 おまけに坂本は「うっかりミス」では通りそうにない数々の“実績”を有しているから始末が悪い。

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 8月7日、坂本は通算189度目の猛打賞をマークし、歴代2位の川上哲治(巨人)の194度にあと5に迫るなど、復調の兆しを見せている。幾度もスキャンダルを起こしながらも“巨人の顔”として長年活躍してきた“強メンタル”は健在のようだ。関連記事「ホステスへのかみつき事件に中絶トラブル… 巨人・坂本勇人のスキャンダル遍歴を振り返る」では、これまでに彼が世間を騒がせてきた数々の不祥事について、改めて振り返っている。

デイリー新潮編集部