現地時間の2024年8月14日(水)、音楽ストリーミングサービスのSpotifyがiOSアプリで価格情報を表示することをAppleから承認されたと発表しました。

Apple finally allows Spotify to show pricing info to EU users on iOS | TechCrunch

https://techcrunch.com/2024/08/14/apple-finally-allows-spotify-to-show-pricing-info-to-eu-users-on-ios/

2024年3月、Appleは独占禁止法違反により欧州規制当局から18億4000万ユーロ(約2990億円)の罰金を科されています。これを受け、AppleはSpotifyとEUユーザー向けにiOSアプリ上で価格情報を共有できるようにするべく、協議を進めてきました。

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そして新たに、SpotifyはiOSアプリ上で価格情報を表示することをAppleから承認されたと発表しています。これにより、Spotifyの有料プランの価格情報や、オーディオブックを含むデジタル商品の価格情報を、アプリ上に表示することができるようになりました。

しかし、Spotifyは自社ウェブサイトへのリンクを挿入することはありません。その理由は、ハイパーリンクを挿入することで売上の27%を手数料としてAppleに徴収されることとなるためです。SpotifyはAppleに対して売上の一部を手数料として支払うつもりはないというわけ。

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SpotifyはAppleに売上の一部を手数料として支払うことを避けるため、自社ウェブサイトへのハイパーリンクをアプリ内に挿入するつもりはありません。その代わりに、アプリ内テキストにドメイン名や「.com」を含むハイパーリンクを明記せずに、ユーザーをSpotifyの公式ウェブサイトに誘導しようとしている模様。Spotifyによると、Appleはハイパーリンクではない「spotify.com」というテキストですらアプリ内に含めることを許可していないそうです。



SpotifyはiOSアプリ上に価格情報を掲載できるようになったことを受け、EU圏内で公式サイト経由でSpotifyのサブスクリプションプランにアップグレードすることを勧めるプロモーションを実施する予定です。

この動きは手数料無料の独自の決済プラットフォーム経由で顧客に有料プランを提供するというSpotifyの目標達成に向けた小さな一歩です。Spotifyは今後もAppleに手数料を支払わずにiOSアプリからウェブサイトにリンクすることができるように、戦い続けるつもりです。

なお、Spotifyは今回の変更について「これは進歩ではありますが、iPhoneユーザーがアプリで期待し、当然享受できるべき基本的な製品体験、つまり他のスマートフォンユーザーがすでに享受している体験を提供するという長い道のりの中では、これはほんの小さな一歩にすぎません。残念ながら、ECの判決にもかかわらず、Appleが引き続き要求する違法で略奪的な手数料のため、SpotifyとEUのすべての音楽ストリーミングサービスは、消費者がアプリ内でリンクをクリックして購入するという単純な機会を自由に提供できないままです」と記しています。