フランスのファンから大ブーイングを浴びたアルゼンチン五輪代表。(C)Getty Images

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 前代未聞の出来事は、世界を驚かせた。

 7月24日に行われたパリ五輪の男子サッカー、グループBの初戦は、波乱の展開となった。その騒ぎに、イタリアの大手紙『Gazztta dello Sport』からは、オリンピック精神がないとの声が寄せられている。

 サンテティエンヌで開催されたアルゼンチンとモロッコの一戦では、試合前の国歌斉唱でアルゼンチン国歌にブーイングが浴びせられた。

 五輪開催国フランスとアルゼンチンのカタール・ワールドカップ以降の問題は周知のとおりだ。直近でも、コパ・アメリカでアルゼンチンが優勝した際、一部選手がフランスに対する人種差別的チャントを歌っていた問題が世界で議論されている。

 Gazztta dello Sport紙は「オリンピック精神どころではない」と批判した。

「パリ大会は、試合前のアルゼンチン国歌が、大半がフランス人とモロッコ人のサンテティエンヌのスタジアムの観客にかき消されて始まった。エンソ・フェルナンデスが投稿した動画を巡るアルゼンチンとフランスの緊張から、ブーイングは想定されていた」
【動画】フランスを揶揄するチャントを歌うアルゼンチンのフェルナンデス
 しかし、これだけではない。同紙も「国歌だけにはとどまらなかった」と続けている。試合じたいも異例の展開となったのだ。

 2−1とモロッコのリードで迎えたアディショナルタイム106分、アルゼンチンが同点に追いつく。するとモロッコのサポーターがピッチになだれ込み、混乱の中で審判団は試合を中断。2時間後に無観客で再開されたのである。しかも、VARチェックでアルゼンチンのゴールはオフサイド判定となり取り消し。結局、2−1のスコアのままで再開され、モロッコが勝利を収めた。

 ハビエル・マスチェラーノ監督が「こんなサーカスは見たことがない」と批判したアルゼンチンの初戦。あまりにも多くの出来事が起き、好ましくないかたちで世界的な話題となった彼らの五輪はどうなるだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部