種子島宇宙センターから打ち上げられ、上昇する「H3」3号機(1日午後0時6分、読売機から)=木佐貫冬星撮影

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 日本の新たな大型主力ロケット「H3」の3号機が1日午後0時6分頃、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。

 ロケットは予定の軌道に投入され、搭載した政府の地球観測衛星「だいち4号」を分離した。今年2月の2号機に続く打ち上げの成功で、実用化に向けて大きく前進した。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、3号機(全長約57メートル)は予定の時刻通りに打ち上げられ、第1段、第2段エンジンを順次着火させながら上昇していった。発射から約16分後には目標の高度613キロ・メートル付近に到達し、だいち4号を分離した。

 H3は、今年度に退役予定のH2Aロケットの後継機。今後20年ほど日本の宇宙輸送の中核を担う基幹ロケットとして、JAXAと三菱重工業が共同開発した。打ち上げ可能な重量はH2Aの約1・3倍で、様々な大きさの衛星に対応できる。世界の衛星打ち上げ需要の獲得に向け、打ち上げ価格をH2Aの約100億円から半減させる目標を掲げる。

 ただ、開発は難航し、昨年3月の初号機は打ち上げに失敗。今年2月の2号機で初めて成功した。2号機までは「試験機」の扱いで、3号機は、初めて本格運用と位置づけて打ち上げた。

 H3は今年度、日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星「みちびき」を打ち上げるほか、来年度以降も月極域の水資源を探る探査車など、日本の重要な科学ミッションや安全保障に関わる衛星などを宇宙に送る予定だ。

 一方、軌道投入に成功しただいち4号(重さ約3トン、高さ約6・4メートル)は、高性能なレーダー観測機器を搭載し、夜間や悪天候時も自然災害の被害状況などを詳細に把握できる。初号機と共に喪失しただいち3号と同じシリーズで、設計寿命を超えて運用中のだいち2号の後継機として使う。