【生きづらさを感じる人へ】アルコール依存症に陥らない方法や治療法を解説

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アルコール依存症の治療には集団療法などが効果があると塩釜口こころクリニックの河合先生は言います。予防する方法としてのカギは生きづらさの解消、「他者に頼る力」にあるようです。詳しく教えてもらいました。

※この記事はMedical DOCにて【アルコール依存症の治療法を解説「孤独にならないことが治療継続のカギ」】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

≫ アルコール依存症の治療法を解説「孤独にならないことが治療継続のカギ」

監修医師:
河合 佐和(塩釜口こころクリニック)

藤田医科大学医学部卒業。藤田医科大学病院にて初期研修後、精神科・児童精神科の臨床経験を積む。2021年、愛知県名古屋市に「塩釜口こころクリニック」を開院。「どんなあなたでも大丈夫」をモットーとしている。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。

編集部

アルコール依存症の具体的な治療方法について教えてください。

河合先生

一例として「自助グループや集団精神療法」があり、医療機関でおこなう場合は保険診療の対象になっています。もっとも、医療機関の垣根が高く、民間のNPO法人などで「グループミーティング」に所属して、断酒を頑張っている人々もいらっしゃいます。「他者に頼れない性格の人が、1人で閉じこもって黙々とお酒を飲む」。この典型的な図式を打破していきます。

編集部

集団療法というと、「ダメな自分の告白会」のようなイメージがありますが?

河合先生

必ずしもそうではありません。例えば「来週のミーティングまでに2日間の“休肝日”を設ける」と宣言していただいて、達成したら褒めて「成功体験」にするようなプロセスもあります。ちなみに、治療期間はずっと続きます。依存症は「一生、回復を重ね続ける」病気です。

編集部

通院、あるいは通所を続けるモチベーションが求められそうですね。

河合先生

日々の生活の中に治療を組み込むイメージですね。一般の人がランニングなどの健康習慣を日々の中に取り入れることと同様です。ちなみに、治療からの離脱は残念ながら多々、起こり得ます。治療継続するかしないかは、ご家族などの支えとなる存在の有無が大きく、「孤独」に生きる人にとっては治療継続がとても難しいと感じます。自助グループの目的と重なる部分ですが、仲間を作ってお互いに手を取り合い、お互いの断酒をサポートしていくことが大切です。

編集部

最後に、アルコール依存症に陥らない方法はありますか?

河合先生

ベースにあるのは「生きづらさ」なのでしょう。そのつらさを「他者に頼って解決してもいい」ということなんですよね。他者に頼る力のある人は、精神疾患全般のリスクも低いと思います。他方で、他者に対して心を開くことができないと孤独に陥ります。自他共に欠点や魅力を認め合うことが、アルコール依存症の予防方法かもしれません。このとき、欠点も見方によっては「長所」であるように、視点を切り替えてみましょう。誰も完璧な人間はいません。人それぞれ弱さや未熟な部分があっても、それを互いに認め合い、助け合い、人と人が心でつながることが生きる力となります。そして、これまで酒の力で生きてこられた人たちの新たな生きる支えとなるでしょう。