「胆管がんになりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状や原因も医師が解説!

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胆管がんになりやすい人の特徴とは?Medical DOC監修医が胆管がんになりやすい人の特徴・症状・原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

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監修医師:
西脇 亮(医師)

医学部卒業後、松阪済生会病院で初期研修。遠山病院にて外科で勤務。2023年6月より松阪市民病院消化器内科勤務、消化器内科部長内視鏡センター長となる。所有している専門医は、外科専門医・消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・腹部救急認定医・日本臨床栄養代謝学会認定医・ヘリコバクター学会認定医。

「胆管がん」とは?

胆汁の通り道である胆管に発生する悪性腫瘍を胆管がんと呼びます。胆管は肝臓の内外にあるため、胆管がんは大きく肝内胆管がんと肝外胆管がんの二つに分けることができます。この記事では、胆管がんになりやすい人やその症状、予防法などについて解説します。

胆管がんになりやすい人の特徴

胆管がんは、世界的にみて日本での頻度が高いとされています。そこで、この章では胆管がんになりやすい人の特徴について解説します。

年齢と性別

胆管がんは50歳代以降に多く見られ、70歳代、80歳代の高齢者に多くみられます。また、女性よりも男性にやや多い傾向があることが知られています。

基礎疾患がある

胆管がんは基礎疾患があると、胆管がんが発症しやすくなるとされています。具体的には、原発性硬化性胆管炎という病気があると、胆管がんを発症しやすくなると考えられています。原発性硬化性胆管炎は、複数箇所で胆管が狭くなるため、胆汁の流れが悪くなります。その結果、肝臓の働きが悪くなります。このような病気があると、胆管がんのリスクが上がるとされています。その他にも膵胆管合流異常という疾患があるとリスクが上がるといわれています。

化学物質への曝露

過去に印刷工場で塩素系有機洗浄剤(ジクロロプロパン)を使用してきた作業員に、高頻度で胆管がんを発症していることが報告されたことがあります。このような化学物質への曝露があると、胆管がんを発症しやすくなるとされています。

胆管がんの代表的な症状

黄疸

胆管が狭くなると胆汁の排泄が悪くなり、ビリルビンが血液中に逆行して全身にたまりやすくなります。これにより、結膜や手のひら、皮膚が黄色く見える状態を黄疸といいます。尿が褐色になり、便は灰白色になることもあります。

みぞおちや右の脇腹の痛み

がんが胆管に浸潤すると、みぞおちや右の脇腹の痛みを引き起こすことがあります。また、胆石や胆管炎などが影響して、この場所が痛むことがあります。時には、右肩にも感じられることがあります。市販薬で痛み止めを飲んでも、痛みが続いたり、悪化したりする場合は消化器内科や内科を受診すると良いでしょう。

体重減少

胆管がんだけでなく、がんでは食欲不振なども伴い、体重が減少することがあります。胆管がんに特徴的な症状ではありませんが、食欲がない、体重が減っている場合には内科を受診すると良いでしょう。

発熱

胆管がんでは、胆汁の流れが悪くなることにより、細菌感染を引き起こすことがあります。その結果、発熱を伴うことがあります。市販されている解熱薬を飲んでも、発熱が続いたり、悪化したりする場合は内科を受診すると良いでしょう。

胆管がんの主な原因

胆管がんになりやすい人の特徴の章で、原因について簡単に触れています。胆管がんの原因は明らかになってはいませんが、可能性のある要因を解説します。

肝内胆石症

胆石にはさまざまな種類がありますが、肝臓の中の胆管にできる肝内胆石は、胆管がんのリスクを高めることが知られています。

原発性硬化性胆管炎

原発性硬化性胆管炎は胆管の複数箇所が狭くなることで、肝臓の働きが悪くなる病気です。この病気は難病に指定されていて、2018年には推定2,300人であることが分かり、この10年間でおよそ2倍に増加しています。非常に稀な疾患ではありますが、胆管がんのリスクを上げる原因として知られています。

化学物質への曝露

特定の化学物質、例えばジクロロプロパンやジクロロメタンなどが胆管がんのリスクを高めると報告されています。これらの化学物質は、過去にインク洗浄剤に使用されていたことがあり、社会問題にもなったこともあります。

膵胆管合流異常

膵胆管合流異常は、膵液と胆汁の流れが異常に合流することで、胆汁の逆流が起こりやすくなります。これが胆管がんのリスクを高める原因となるとされています。

胆管がんの予防法

脂質の多い食事を控える

肝内結石が生じる正確な原因は解明されていません。しかし、高脂質の食事は胆石の原因になることが知られています。肝内胆石を構成する成分も、高脂肪食が原因で増えることがあります。そのため、肝内胆石も高脂肪食が影響している可能性があります。脂質の多い食事を控えることが胆石予防につながり、最終的には胆管がんになりづらくなると言えます。

適度な運動

胆管がんの予防に限らず、日常的に体を動かすことはがんの予防に有効です。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、18~64歳の身体活動基準として歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行うことが推奨されています(1日約8000歩以上)。最初からそのような運動ができなくても、歩くなど軽い運動などから始めましょう。運動することに慣れてきたら、階段の利用や日常の散歩を習慣にし、適度な運動を生活に取り入れるようにしましょう。

定期検診を受ける

胆石は自覚症状がないことも多いため、人間ドックなどで初めて見つかることがあります。無症状であれば通常は治療の必要がないことがほとんどです。しかし、治療が必要ないかどうか、胆管がんの危険がないかなどについて、経過を見ておくほうがいいでしょう。一年に一度は定期検査をして、経過観察することをお勧めします。

「胆管がんになりやすい人」についてよくある質問

ここまで胆管がんになりやすい人の特徴を紹介しました。ここでは「胆管がんになりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胆管がんの進行が早い原因について教えてください。

西脇 亮 医師

胆管がんは初期段階で症状が現れにくいため、発見が遅れてしまいます。このため、がんが見つかる時にはすでに進行していることが多いです。さらに、胆管がんは周囲の組織や臓器に広がりやすく、特に肝臓や膵臓、十二指腸など近くにある臓器への浸潤も見られることが多いです。

胆管がんを発症すると体のどこが痛みますか?

西脇 亮 医師

胆管がんは大きくなると痛みを生じることがあります。特に、みぞおちや右の脇腹が痛くなることが知られています。

胆管がんの前兆となる初期症状について教えてください。

西脇 亮 医師

胆管がんは初期症状が少ないため、自覚症状が乏しいとされています。胆管がんは進行するにつれて、黄疸や体重減少、みぞおちや右の脇腹の痛みを生じます。

編集部まとめ

胆管がんは初期の自覚症状が乏しく、進行してから見つかることも少なくありません。胆管がん予防のためにも、日常生活の見直しや検診を定期的に行うようにしましょう。

「胆管がんになりやすい人」と関連する病気

「胆管がんになりやすい人」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

肝内胆石

胆囊炎

原発性硬化性胆管炎

膵胆管合流異常

胆管がんは初期症状が出づらいため、列挙した疾患がないかどうか、定期検診が重要となります。

「胆管がんになりやすい人」と関連する症状

「胆管がんになりやすい人」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

白目が黄色くなる

黄疸

皮膚のかゆみ

みぞおちや右の脇腹の痛み

吐き気や嘔吐

体重減少

発熱

これらは胆管がんで認めうる症状ですが、これら症状が出ている場合、胆管がんは進行している恐れがあります。気になる症状があれば、速やかに消化器内科を受診するようにしましょう。

参考文献

胆管がん(日本肝胆膵外科学会)

胆石症(日本臨床外科学会)

原発性硬化性胆管炎(指定難病94)(難病状態センターHP)