「シェーグレン症候群」の症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?医師が監修!
シェーグレン症候群は2015年1月に指定難病に指定された病気ですが、初めて名前を聞いたという方が多いのではないでしょうか。
聞き慣れない病気にかかった場合、不安になって日常生活にも手がつかない状況になる人は少なくありません。
この記事ではシェーグレン症候群の症状について詳しく紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「シェーグレン症候群」を発症すると現れる症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
シェーグレン症候群の症状と原因
シェーグレン症候群はどのような病気ですか?
1933年にスウェーデンの眼科医であるヘンリック・シェーグレン博士が論文を報告したことにちなみ、シェーグレン症候群と呼ばれるようになった疾患です。主な症状は涙腺や唾液腺といった外部分泌が系統的に侵される自己免疫疾患ですが、臓器病変を伴った全身性の自己免疫疾患でもあります。関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病を合併することが多いです。
その場合は二次性シェーグレン症候群と呼ばれ、合併のない場合は原発性シェーグレン症候群と呼ばれます。
発症する原因を教えてください。
現状発症する明確な原因は不明ですが、自分の体の成分に対して免疫反応を起こす自己免疫の疾患が原因と考えられています。要因としては遺伝子的要因・免疫学的異常・ウイルスなどの環境要因・女性ホルモンの4つの要因が挙げられます。いずれか1つが原因で発症するのではなく、4つの要因が複雑に絡みあうことにより発症するのが特徴です。
どんな症状が起こるでしょうか?
主な症状はドライアイと呼ばれる目の乾燥と、ドライマウスと呼ばれる口腔内の乾燥です。ドライアイになると、涙が出ない・目が痛い・目が疲れる・目がゴロゴロする・物がよく見えないなどの症状が現れます。ドライマウスは口が渇く・唾液が出ない・味がわからない・虫歯が多くなるなどの症状が現れます。他にも鼻が渇いたり鼻にかさぶたができたりする鼻腔の乾燥や、汗が出にくくなる乾燥肌の症状も現れやすいです。
全身症状として発熱・頭痛・疲労感・関節の痛み・記憶力低下が特に多く、集中力の低下・めまい・気分の変調・うつ傾向などの症状が現れる患者さんもいます。
シェーグレン症候群になりやすいのはどんな人ですか?
一般的には40~60代に発症しやすいです。少数ですが、小児や高齢者が発症することもあります。男女比でいうと女性に症状が現れやすいのも特徴です。患者数は増加傾向にあります。理由としては病気自体の認知度が向上してきたことや判断基準のガイドラインの普及により、病気の診断率が高くなったことが大きく関わっているでしょう。
全身に痛みを感じると聞きましたが。
乾燥症状とは別に全身症状が現れることもあります。複数の関節に痛みを感じる多関節痛・多関節炎・筋肉の痛みなどが起こりやすいです。その他には手足にしびれが生じる末梢神経障害もあります。中には関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病を合併される患者さんもいらっしゃいます。
編集部まとめ
シェーグレン症候群は指定難病に指定されているため、不安な状況の方が多いでしょう。
症状は急激に進行することはなく、長期に渡って付き合っていく必要がある病気です。情報に振り回されずに正しい知識を身につけることを心掛けましょう。
日本には日本シェーグレン症候群学会があり、学会のホームページで最新の情報を得ることもできます。また患者会として「シェーグレンの会」が年に1回開催されます。
同じ病気で悩む患者さん達と交流し、悩みや情報を共有するのもおすすめです。
あなたに合ったペースで治療を受け、症状と向き合いながら生活を送りましょう。
参考文献
シェーグレン症候群(指定難病53)(難病情報センター)
53 シェーグレン症候群(厚生労働省)