YouTubeでの配信中に流れた「洗濯機のチャイム音」が著作権侵害とみなされて収益化を停止される事態に
YouTubeには、著作権所有者から送信された音声ファイルと映像ファイルのデータベースをもとに、著作権で保護されたコンテンツと一致するものを自動的に特定する「Content ID」という仕組みが導入されています。YouTuberのAlbino氏が、配信中に流れた洗濯機のチャイム音がContent IDによって著作権違反と見なされ、動画の収益化が停止されたと告発しています。
Hi @TeamYouTube
A guy recorded his washing machine and and used it to claim monetization on my video, this is the most egregious example of the MANY outright fraudulent content ID claims I've gotten over the years
are you guys doing anything to prevent this? It's completely… pic.twitter.com/hnMkiH4UpK— ALBINO ???????? (@AlbinoVEVO) May 27, 2024
Washing machine chime scandal shows how absurd YouTube copyright abuse can get | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/05/washing-machine-chime-scandal-shows-how-absurd-youtube-copyright-abuse-can-get/
Albino氏は、配信中に「洗濯機が洗濯終了した時に鳴らすチャイム音」に言及し、さまざまなメーカーのチャイム音を聞きながらコメントをしました。以下の配信アーカイブのちょうど51分当たりで、そのくだりを見ることができます。
Animal Well - Stream 7, Fallout New Vegas - Stream 6 - YouTube
その中で問題になったのが、Samsung製の洗濯機のチャイムです。Samsung製の洗濯機は、洗濯が終了するとフランツ・シューベルトのピアノ五重奏曲第4楽章、通称「ます」と呼ばれる曲のメロディーが流れます。
しかし、このチャイム音がそのまま、Audigoというユーザーによって「Done」という曲名でYouTubeに投稿されていました。そのため、Samsungのチャイム音部分がContent IDにひっかかり、動画の収益化が停止されてしまったというわけです。
Done - YouTube
もちろん原曲であるシューベルトの曲は1817年に作曲され、シューベルトも1828年に亡くなっていることから、パブリックドメインとなっています。また、該当する動画の音はSamsungの製品に搭載されているチャイム音をそのままマイクで録音したものであるようで、Audigoというユーザーが正当な権利者である可能性は極めて低いといえます。
Albino氏は「ある人が自分の洗濯機から録音し、Content IDを使ってYouTubeにアップロードしました。そして私は今著作権侵害の申し立てを受けています。私のお金はトイレに流れ、このクソ野郎に渡されているのです」とコメントしました。
Albino氏がXに投稿した批判のポストに対し、YouTubeの公式アカウントは「私たちはあなたにとってそれがどれほど重要であるかを理解しています。あなたの動画を見ると、あなたは最近異議申し立てを提出したようです。Content IDの申し立てに異議を申し立てると、あなたの動画を申し立てた人(申立人)は通知を受け取り、30日以内に返答する必要があります」という定型的な回答を返しました。
we understand how important it is for you. from your vid, it looks like you've recently submitted a dispute. when you dispute a Content ID claim, the person who claimed your video (the claimant) is notified & they have 30 days to respond: https://t.co/gYnSOw4dm7 (1/2)— TeamYouTube (@TeamYouTube) May 27, 2024
これに対し、Albino氏は「相手が単に『異議申し立てを拒否』をクリックし、広告収入をすべて取り上げ、異議申し立てのためにチャンネルが停止されるリスクを相手に負わせるだけなら残念です」と怒りのコメントをポストしています。
"just wait for the person blatantly stealing copyrighted material to respond" ah okay yes i'm sure they did this in good faith and will make the correct call
though it would be a shame if they simply clicked "reject dispute", took all the ad revenue money and forced me to risk… https://t.co/83Be4Q8ulM pic.twitter.com/16cXGyt9mm— ALBINO ???????? (@AlbinoVEVO) May 27, 2024
その後、YouTubeは「確認したところ、申し立ては無効で、収益化停止は解除されたようです」と報告しました。
"just wait for the person blatantly stealing copyrighted material to respond" ah okay yes i'm sure they did this in good faith and will make the correct call
though it would be a shame if they simply clicked "reject dispute", took all the ad revenue money and forced me to risk… https://t.co/83Be4Q8ulM pic.twitter.com/16cXGyt9mm— ALBINO ???????? (@AlbinoVEVO) May 27, 2024
IT系ニュースサイトのArs Technicaは、YouTubeのContent IDシステムは長年にわたってほとんど変わっておらず、クリエイターにとって不利な状況が続いていると批判。YouTubeの研究者で電子フロンティア財団の政策担当ディレクターであるキャサリン・トレンダコスタ氏は「Content IDの仕組みは悪化しており、意図的に不透明になっており、クリエイターにとって制御が非常に難しいシステムになっています。Content IDの仕組みに満足しているYouTubeクリエイターを私は知りません」と述べています。
なお、Ars TechnicaはContent IDに関する苦情についてYouTubeにコメントを求めた際、「完璧なシステムなど存在しません」という返答が得られただけで、具体的な解決作については回答がなかったと報告しています。